糖鎖
各単糖が決められた順番で結合した糖質のことを糖鎖と呼び、糖鎖が生体内でタンパク質・脂質と結び付きレセプター機能などを持つ。糖鎖が関わる病理・病態(血液型・免疫反応・細菌類と毒素による疾病・細胞接着など)、情報の発信と受信、ホルモンの感知と発信、ガン化に伴い糖鎖の構造変化など、生命維持の基本に関わる重要な役割を持つ。
糖鎖配列のことを糖鎖の「一次構造」と呼び、一次構造が決まるとそれに見合った立体「三次構造」が定まる。これは狂牛病で脳が海綿状になるのは、糖タンパク質PrPSCにより脳を構成するタンパク質の三次構造が変わるためと言うことだろう。
糖タンパク質
動物細胞には必ず存在し、重要な役割を演じる構成成分。主たる働きは細胞膜を奇数回貫通して、細胞外情報を伝達するのだが、情報収集は暗号化した糖鎖が行う。糖鎖と結合するのは糖鎖以外に菌表面の線毛(pili)など。
ムチン型糖タンパク質(糖鎖はセリン・トレオニン結合)は、臓器の保護、血清・尿中のウイルスや細菌の毒素を不活性化作用を持つ。
アスパラギン結合型糖タンパク質(糖鎖はアスパラギン結合)は、糖鎖末端にシアル酸が結合しており、生命現象の微妙な調整と細胞の相互認識を行う。
血液型
血球細胞膜糖鎖でABO式血液型が決まる。細胞膜にあるセラミド(スフィンゴ脂質)から伸びている糖鎖で、基本はH抗原糖鎖(O型)があり、A型(凝集原A・凝集素β)はH抗原の糖鎖の先端にN−アセチルガラクトサミン糖が付いた物、B型(凝集原B・凝集素α)はH抗原の糖鎖の先端にガラクトースが付いた物。
単糖
Fuc フコース (fucose)
Fru フルクトース (fructose; 果糖)
Gal ガラクトース (galactose)
GalNAc N−アセチルガラクトサミン (N-acetylgalactosamine)
Glc グルコース (glucose; ブドウ糖)
GlcA グルクロン酸 (glucuronic acid)
GlcN グルコサミン (glucosamine)
GlcNAc N−アセチルグルコサミン (N-acetylglucosamine)
IdoA イズロン酸 (iduronic acid)
Lac ラクトース (lactose; 乳糖)
Mal マルトース (maltose)
Man マンノース(mannose)
NurNAc N−アセチルムラミン酸
NeuAc N−アセチルノイラミン酸
NeuGc N−グリコリルノイラミン酸
Sia シアル酸
Xyl キシロース