【さ】  四目屋リンク・代替療法事典(http://www.geocities.jp/tyubee/)

●催淫薬
 性欲を昂進させる。♂の性能力を高め、勃起力を増強させる。♀は膣の分泌物を増加させ、オーガズムを増強させる作用などの薬効を持つ物を言う。
 ドーランド「医学大事典」では、性欲を刺激しまたは増強させる薬と述べ、漢方では、補腎薬または補益薬という語彙を用いている。
 
●サイカジン(アゾキシ配糖体)
 ソテツ(裸子植物)の全株に青酸配糖体「サイカジン」を含有。酵素の働きでホルムアルデヒドを生じ、嘔吐・疝痛・惰眠・昏睡・痙攣をおこす。種子(大隅半島で採れる種子は生薬名を蘇鉄実(そてつじつ)であり、通経・強壮・収斂・不老長寿薬)はかって食用にされていたことがあり、多くの犠牲者を出した。ガアム島などの南太平洋の住民は、ソテツの実を食用してたが、筋萎縮性側索硬化症という病気がよく見られた。これは、サイカシンが腸内に入り、そこで腸内細菌がもつ酵素β−グルコシダーゼ(腸球菌など)によって加水分解され、発ガン性のあるメチルアゾキシメタノールとなり、腸管から吸収されて組織中でジアゾメタン(強い発ガン性を示す)となるからである。
 
●サイコサポニン(saikosaponin)

 セリ科ミシマサイコの根(生薬名=柴胡)に含ま れる、C30のトリテルペノイドサポニンで、オレ アナン型のサポニン。抗炎症、解熱、抗腫瘍作用 などを持ち、肝炎治療に使われる。生薬では鎮痛 ・解熱・胸脇苦満の痛みに使う。末期肝癌患者に投与すると肝性肺炎を引き起こす。
 
●サイトカイン (cytokine)
 造血系細胞(および他の細胞)から分泌され、造血系細胞(および他の細胞)の増殖や成熟に影響を与える可溶性因子。
 「単一のリンホカインが多様な生物活性を示す」、「単一のリンホカインが複数の異なる細胞により産生される」が明らかにされ、リンホカインを含む広義の物質群を呼称する「サイトカイン」なる語彙が凡用されるにいたった。リンパ球、血球系細胞、造血系細胞、線維芽細胞、ケラチノサイトなどから産生される生理活性ペプチドをサイトカイン(G−CSF、M−CSF、GM−CSF、エリスロポエイン、トロンボポエチン、SCF、IL、TNF、LT、INF、ケモカイン、炎症性因子TNF)と総称する。「多数の異なる細胞から産生され、対応する受容体を持つ細胞に情報を与える活性因子群」である。
 サイトカインは他の細胞の増殖・分化・運動・生存に影響を与えている。そして多様な働きを示し、状況に応じてあるときは細胞増殖因子として、他の時は炎症性因子として働く。
 
●細菌治療法
 実験動物の皮下ガン細胞を移植すると、移植された肉片の周りには血管が新しく形成され、栄養と酸素が補給されるようなり、移植された肉片としてのガンは、またたく間に大きく成長し宿主を死に至らせます。解剖するとガンの周囲にはルイルイと張り巡らされた血管が存在し、元気の良いガン細胞が観察されます。ところがガン塊を切開すると、ガン中心部から死んだ細胞がドロドロと流れ出ることもあるのです。
 ジョンスホプキンス大学は、ガン中心部に死細胞が多く見られる(生体内にもかかわらず、ガン塊の中心部は死んでいる)現象を応用して、同状況で増殖する細菌を利用するガン治療を試みました。
 嫌気性菌芽胞(無毒化ノービー菌)をマウスに移植したガンの中心部に注入すると、治療効果は劇的にあったのです。非常に大きなガンも含めガンの半数以上が24時間以内に破壊され、ガン塊は分解し瘢痕となり、2週間ほどで徐々に消失したのです(周りの正常組織は無傷)。
 
●細菌の細胞壁
 細菌の細胞壁の一つは、GlcNAc(N−アセチルグルコサミン)とMurNAc(N−アセチルムラミン酸)が、交互にβ−1,4グリコシド結合で出来ている多糖であり、所々でMurNAc側鎖(乳酸基)が数個のアミノ酸と結合して多糖ペプチド「ペプチドグリカン:(peptidoglycan)」である。ペプチドグリカンはD−アミノ酸を含み、枝分かれするなど他のタンパク質類に見られない特徴を持っている。
 細菌の大部分は、表面に糖鎖を認識するレクチンがあり、ムチン型糖タンパク質に結合する。胃・腸では、細菌はムチンの中で繁殖して、体内に移行しない。 
 
●細胞
 細胞が集まって組織を作り、組織が集まって器官を作り、器官が器官系を作り、人の身体ができあがる。ヒトの細胞数は約50兆個である。
 細胞の中には生きるための道具が詰まっている。細胞を個体とすると、この道具は器官に相当するので、細胞の器官、「細胞小器官」という。
 細胞小器官の中で一番大きいのが「核」である。核の中に染色体があり、遺伝子が格納されている。遺伝子を構成する物質は「デオキシリボ核酸」で、「DNA]と略され呼ばれている。細胞から核を除いたものはまとめて「細胞質」という。細胞質にはいくつもの小器官がある。@糸粒体(ミトコンドリア):生体が活動するために必要なエネルギーである「アデノシン三リン酸(ATP)]を作る。A小胞体:リボソームが付着して、「粗面小胞体」の状態をとり、タンパク質がこの場所でDNAに描かれた設計図通りに作られていく。B微小体(マイクロボディ):多種の酸化還元酵素を詰めた袋。生体の中でできた有毒な過酸化物を分解する働きをする。Cゴルジ体:膜で包まれた扁平な袋が層状に積み重なっている。小胞体とつながっており、小胞体で作られた新しいタンパク質はゴルジ体に運ばれ、糖鎖が付けられたり修飾される。糖タンパクはゴルジ体で作られる。Dリソソーム:各種加水分解酵素が入っている。E植物体では葉緑素が存在する。
 細胞は細胞膜によって囲まれており、細胞内には上記に説明した細胞内小器官(オルガネラ)がある。この細胞膜と、オルガネラの膜を総称して生体膜と呼んでいる。
 細胞表層のオリゴ糖鎖はその構造多様性により細胞の顔と呼ばれ、情報分子として重要な役割が明らかにされている。
 
●細胞死
 細胞死はネクローシスかアポトーシスのどちらかで起こる。ネクローシスが細胞膜の直接的な傷害やイオンチャンネルの変化による細胞の膨潤を特徴とする細胞死である。ネクローシス死が起こるのは高線量の放射線照射、高濃度の抗ガン剤投与、細胞膜傷害性の細菌毒素、火傷など特殊の場合に限定される。アポトーシスは細胞内のさまざまな機能タンパク質の仲介を経てのカスケード的なシグナルでの核クロマチンDNAの規則的な断片化および細胞自身の断片化を特徴とする細胞死である。生体において起こる細胞死はほとんどがアポトーシス死であり、プログラム細胞死もアポトーシス死である。
ネクローシス死は「事故的な細胞死」、アポトーシス死は「自然的な細胞死」といわれている。
 
●サイモシン(thymosin)
 胸腺細胞から分泌されるT細胞分化因子。骨髄細胞で作られた前駆体細胞は胸腺に入って分化し、成熟T細胞になるが、この際に働く因子の1つ。10数種類が確認されている。
 
●サイモポエチン(thymopoietin)
サイロベリン、血路ベリンとも言う。胸腺から抽出されるT細胞分化因子。
 
●ササフラス(SASSAFRAS・Sasssafras officinale albidam) 
 クスノキ科(北米東部)の落葉高木。根皮(かぐわしい)を乾操させる。
 乾燥根皮28gを水500?で煎じ服用すると、興奮剤として作用し発汗作用を促す。含まれるサフロール(MDA)は刺激剤・幻覚割として有効。多量に使用すると催淫剤、少量では多幸感をもたらす。
 含有成分サフトムは肝臓には有毒なのでくり返し使用しないこと。動物実験では、腫れ物が多くなった。過度の使用は嘔吐・ショック・失語症・呼吸中枢の麻痺により死に至ることがある。お茶として適度服用は安全である。
 
●サッカリン
 サッカリンは水に不溶であり、一般的にサッカリンナトリウムをサッカリンと呼んでいる。ダイエット甘味料・糖尿病の甘味料として使われ、甘味度は砂糖の500倍、1万倍に薄めても甘味を感じる。
 動物実験では子宮ガン・膀胱ガンの発生を認め、その後サッカリンナトリウムはプロモーター物質である事が分かった。
 
●サツマイモ(甘しょ・甘藷・薩摩芋・sweetpotato・唐いも)
 ヒルガオ科Ipomoea batatas L. Lam. (学名)の1年生植物。
◇抗変異原性(発ガン予防作用)
 多く含まれるクロロゲン酸(皮部)や紫色の品種に含まれるアントシアニンは、細胞の突然変異誘発抑制作用があり、発ガン予防効果が期待できる。
◇発ガン物質吸着作用
 サツマイモ食物繊維は整腸作用だけでなく、発ガン物質をよく吸着し腸から吸収されないようにする作用がある。
◇肝機能障害軽減効果
 紫サツマイモのアントシアニンに抗酸化作用があり、酸化的な肝機能障害を軽減する効果がある。
 
●サトイモ
 サトイモ科に属する単子葉植物、食用になるのはサトイモ科植物の内、5属18種、日本で栽培の多い品種は、赤芽・土垂・石川早生(大阪の石川村で突然変異により生じた)・唐芋・八頭など。Colocasia に属する物を「タロ」と呼ぶ。地上部専用種の蓮芋は C.gigantea で、特性が異なる。
 サトイモ澱粉は、他の芋類と比べアミロペクチン量が多く、粘りがある特徴を持つが、加熱により粘度の低下・変色(暗灰色)などの問題点がある。また地下水位が低い土壌で栽培すると、長鎖のアミロペクチンに対し短鎖の割合が増加する。
 
  打ち身・捻挫・凍傷(民間)


 
表皮を除いた芋…… 100g
小麦粉…………………50g
酢………………………少々
 芋は摺り下ろし、ペースト状に練りガーゼ にのばし患部に貼る。乾いたら新しいもの と取り替える。
 
  神経痛・リウマチ(民間)


 
表皮を除いた芋…… 100g
小麦粉…………………50g
生姜(卸し汁)…………少々
 芋は摺り下ろし、ペースト状に練りガーゼ にのばし患部に貼ると、痛みを和らげる。
 かぶれる場合はペーストを布で包む。
 
  肩凝り・軽い火傷・虫刺され・はれもの(民間)
葉や葉柄を細かく刻んですり潰し、ガーゼに包んで患部を湿布する
 
●サポニン
 水溶液を振ると石鹸状に持続性の泡を生ずる化合物群に付けられた。サポニンは配糖体で、加水分解するとサポゲニン(sapogenin・非糖部)と糖を生じ、アグリコン部を特に「サポニゲン」という。サポニンは構造からステロイド系サポニン(ステロイド配糖体)とトリテルペノイド系サポニン(トリテルペノイド配糖体)に大別され、強心配糖体などは含めない。
 サボンソウ・ジギタリス・セネガ根などに分布し、多環式化合物をアグリコンとしてもつ配糖体。昔から漢方薬(朝鮮人参・甘草・柴胡・あまちゃづる等)として活用。糖部分はぶどう糖・ガラクトース・アラビノースなど。一般に溶血作用(赤血球膜の破壊)、血球凝集作用、抗菌、抗カビ作用があり、粘膜刺激作用を保つものもある。魚などに毒作用(魚毒)もある。漢方ではセネガ根を煎じ、利尿薬として心臓病や腎臓病による浮腫を取ったり、化膿した傷・できものの膿を排泄させる。咽頭粘液を刺激して気道の分泌液が盛んになり痰を切る働きから、乾性〜湿性気管支炎、肺炎などの気道内の去痰剤に用いられ、最近では抗潰瘍薬、抗アレルギー薬として用いる。
 朝鮮人参、あまちゃづるなどのサポニンは、胃、十二指腸潰瘍、神経痛、湿疹、糖尿病など、いろいろな病気・体質改善に効果あり。
 マメ科植物のサポニンは毒性がゼロに近く、大豆サポニン(50〜60μg/100g)は、血管壁にある脂肪を溶かし・洗い流す作用があり、動脈硬化の元凶である血液中の中性脂肪やコレステロールを分解して身体の外へ排泄してくれる。
 脂肪塊・血液塊を分解する作用もあり、心筋梗塞の予防に効果がある。ほかに過酸化脂質の抑制と排泄、脂肪の吸収を抑え、同時に体内の脂肪の分解を早める。脂肪肝等の治療に効果があり、肝臓の機能を高める働きがある。
 日陰を好む「ヤツデ」の葉に含まれているサポニン(β−ファトシン)は、食べると、溶血・全身麻痺・心臓障害を起こす危険がある。
 民間療法として、腎臓病の浮腫治療に、1日50gの小豆を水に浸けてアクを抜き、良く煮て汁ごと食べる。味付けはしない。母乳不足も同様である。
 ヤマノイモの一種でメキシコでパルパスコと呼ばれる品種は、サポニンとしてディオスゲニンを多量に含み、黄体ホルモン(プロゲステロン)の合成原料として、米国のステロイド化学者・マーカーが発見した。以後、パルパスコから女性ホルモン・男性ホルモン・副腎皮質ホルモン(コーチゾン)まで合成されるようになった。現在はリュウゼツランを原料食物としている。
 
●さらし粉
  別名:次亜塩素酸カルシウム・カルキ・漂白粉・クロルカルキ・
     クロル石灰・Bleaching powder
 Ca(C?O)2・nCa(OH)2 (n=1〜2)
 有効塩素(C?:35.45)30〜38%を含む白色粉末で強い塩素臭がある(高度さらし粉の有効塩素は60〜90%)。湿潤状態で活性塩素が殺菌作用を発現、さらし粉の0.2%存在で栄養型細菌は約5分で死滅、20%の存在で破傷風芽胞は約10分で死滅する。飲用水処理を有効塩素0.4〜1.5%で行うと存在細菌の約90%が死滅する。全ての微生物に抗菌作用を示す。
 炭酸ガス(空気中)の影響で分解、日光エネルギーにより酸素・塩化水素に分解し、塩化カルシウムと炭酸カルシウムになる。
 尿・糞便・喀痰等の排泄物殺菌は、2%量を加え攪拌後1〜2時間放置する。伝染病患者使用の器具・食器の消毒にも用いるが、衣類等には漂白作用があり用いない。
 
●サリシン
 柳の葉、樹皮から得られるサリシン(アルコール配糖体)があり、加水分解すると、サリチルアルコールとぶどう糖を生じる
 C13187+H2O=C782+C6126
 サリシンは、チフスやリウマチ熱を下げる薬効がある。         
 柳は日中に生成したサリシンを夜間に分解し、その生産物のぶどう糖は植物の他部に移動させるが、アグリコンであるサリゲニンは葉に残って翌日使用される。サリゲニンは1日量に消長があるばかりでなく、季節的にも消長があり、秋・冬が最も多く、新芽の伸びる春に最も少ない。
 
●サリチル酸
 アスピリンの天然の前駆体。フェノール。
 
●サルノコシカケ
 サルノコシカケ科はヒダナシタケ目の代表的種類である。「ヒダナシ」は、ハラタケ目キノコに普通のヒダを欠くの意で、ヒダに代わって「管孔」の内壁面胞子が形成され、「多孔菌」とも呼ばれる。サルノコシカケ科には、マンネンタケ・カワラタケ・コフキタケ・メシマコブなどがあり、特にカワラタケは菌糸体から抽出されたタンパク複合体の多糖製剤が「クレスチン」として商品化され、ガン手術後の転移抑制や治療の副作用の軽減に用いられている。カワラタケからは中国のヤン氏が抗ガン性及び免疫調節活性のある多糖類ペプチドを分離している。  
 
●サルファ剤
 傷が化膿したときに用いる抗菌性物質。摂取して大腸に入ると腸内細菌によって、化膿菌を抑制する物質に変わり、薬理作用を発揮する。
 
●サン・ペドロ(SANPEDRO・Trichocereus pachanoi)  
  別名:クチュマ・ギガントン・幻覚サボテン・カクタスジャック
 アンデス地方(ペルー・エクアドル)で3000年以上前からインディオシャーマンが神と交信するために使用した、背の高い枝を張ったサボテン。
 75mmφ×75〜150mm長さが一回量、皮を剥いて食する(皮の棚についている部分が最も有効、厚く剥かないこと)。またはそのまま細かくし水1?で2時間程煎じた後、濾過液をゆっくりと飲用する。
 摂取後1〜1.5時間で効果が現われ、6〜12時間程度持続(神に近づくビジョンを感じる)する。
 ペヨーテ成分と同じでメスカリンを含有、MAO阻害剤との併用は危険。
 ペルー(リマ)民間療法は覚醒作用を有効と認めている。庭の植え込みに使われているので原材料の確保は簡単。酒に漬けこむと効果抜群だが、幻覚後は必ず気分が悪くなる。1部屋あたり乾燥粉末20gを香として焚いてもよい。
 
【し】 
 
●次亜塩素酸塩
 最も広範囲に使用される塩素系消毒薬で、液状品(次亜塩素酸ナトリウムなど)、固形品(次亜塩素酸カルシウム・ジクロルイソシアヌル酸ナトリウムなど)で、幅広い抗菌スペクトルを有し、安価で速効性がある。ただ腐食性があり、有機物存在下で活性を失い安定性もそれほどよくないため、病院での使用には制約がある。塩素の殺菌活性は大部分が解離していない次亜塩素酸(HOC?)によるもので、次亜塩素酸から殺菌力の劣る形(次亜塩素酸イオンOC?)への解離はpHに依存します。
 塩素消毒で考えられる機序(仮説)は、細胞内の重要な酵素反応の阻害、蛋白変性、および栄養型細菌(1ppm未満)を有機物が存在しない限り数秒で殺菌する力がある。AOACの結核菌殺菌試験によると結核菌を死滅させるには高濃度の塩素(1000ppm)が必要で、家庭用漂白剤は5.25%次亜塩素酸ナトリウム(52,500ppmの有効塩素)を含有するので、家庭用漂白剤を1000倍に希釈すると約50ppm、50倍希釈で約1000ppmの有効塩素濃度が得られる。濃度100ppmでは枯草菌の芽胞の99.9%を5分以内に死滅させ、また病原性真菌を1時間以内に殺滅します。KleinおよびDeForestは、25種類のウイルスが 200ppmの有効塩素により10分間で不活性化されると報告しています。
 サリンなど神経剤(神経系統に作用し、神経伝達機構を破壊)除去作用を持つ。水溶性であり石鹸水で除去も可能だが、アルカリ性漂白溶液により容易に加水分解される。さらし粉(次亜塩素酸塩カルシウム)1と水4の混合液、5%水酸化ナトリウム溶液を使用し、除染を行う。
 
●シアル酸(単糖)
 唾液腺ムチン(顎下腺ムチン)から分離され「唾液の(sialic)」にちなんで命名、のちにガングリオシドから結晶として取り出し、神経(neuron)にちなんでノイラミン酸と命名した。さらに各種糖タンパク質(赤血球・ムチン・フェツイン・母乳)からノイラミン酸を分離し、昭和32年、アミノ糖酸をノイラミン酸・ノイラミン酸(アミノ糖酸)のアシル誘導体、今日ではデヒドロ誘導体・デアミノノイラミン酸のほか各種誘導体を含めて15種類以上をシアル酸と呼ぶ。正常なヒトの体内にあるシアル酸はN−アセチルノイラミン酸である。
◇N−アセチルノイラミン酸
 九炭糖で、結晶ではb型・生体内ではa型である。
◇N−グリコリルノイラミン酸(N−グリコロイルノイラミン酸)
 ウマ・ブタ・ラット・イヌ・ウニの一部に見られるシアル酸。ヒトのガン組織・白内障患者の眼液に含まれる。
◇デアミノノイラミン酸
 (3−デオキシ−D−グリセロ−D−ガラクト−2−ノヌロン酸:KDN)
◇2,3−デヒドロノイラミン酸
 
 シアル酸は各種の生物に含まれ、通常細胞表層糖質を構成している複合糖質の成分として細胞膜表面のオリゴ糖末端にグリコシド結合して存在し、特に重要な生物学的機能を担っている。脳、神経、血液、顎下腺、ムチン質、初乳に多く存在し、遊離して血清や体液、尿中にデヒドロ誘導体として存在する。哺乳動物ほか生物一般に多くN−アセチルノイラミン酸が見いだされ、ヒトのガン組織の中から微量のN−グリコリルノイラミン酸が存在する。
 インフルエンザウイルスのレセプター部分がシアロシルラクトースの部分アセチル誘導体との結合がヘマグルチニンを仲介して行われる事が発見され、シアル酸がインフルエンザウイルスの増殖抑制作用を示し、治療薬としてインフルエンザ治療薬「ザナミビル(グラクソ社)」が開発された。アメリカ、EU、他各国で治療に用いられている。ザナミビルはシアル酸を原料に「4-グアニジノ-2,3-デオキシシアル酸誘導体」であり、シアリダーゼ活性阻害作用を利用したインフルエンザA・Bの予防・治療薬である。
 シアル酸のC−4,7,8,9水酸基はアセチル基で装飾を受ける。これはシアリダーゼが作用しなくなり、生理学的機能を果たす。
  血漿中のタンパク質はアルブミン以外はすべて糖タンパク質であり、この糖タンパク質は糖鎖の先端にシアル酸を持つ、いわゆるシアロ糖タンパク質である。血中の糖タンパク質は、糖鎖末端のシアル酸をなくすと、肝臓などで特異的な結合タンパク質と結合、血中から急速に消失。つまり、糖鎖末端のシアル酸は複合糖質分解酵素によるペプチド分解を阻害する。
   シアル酸濃度が高値:肝炎を除く炎症性疾患,悪性腫瘍,膠原病
   シアル酸濃度が低値:肝障害
 各種のシアル酸誘導体(グリコリポイド)はガン転移の抑制と、神経細胞を伸展しアルツハイマー症の治療・予防をする。
●シアル酸転移酵素(ST)
 胸腺リンパ球、末梢T細胞のシアル酸量やシアル転移酵素(シアリルトランスフェラーゼ)活性を測定すると、ハイドロコーチゾン抵抗性胸腺細胞やT細胞では胸腺細胞よりシアル酸量やST活性が高い値を示す。胸腺ではリンパ球の分化に伴って次第にST活性が発現され、これによりリンパ球膜上の複合糖質の糖鎖にシアル酸が付け加えられると考えられる。T細胞膜表面のSTが、T細胞の分化マーカーとなり得ることは、機能の異なるT細胞亜集団が、その膜表面上のシアル酸量によって区別されることである。
 リンパ球の分化・増殖・機能発現は、リンパ球膜表面のシアル酸量あるいはST活性が密接に関連している。
 
●シアロ複合糖質
 シアロ糖タンパク質、ガングリオシドなどをいう。これらは多彩な生理機能によって注目されいる。
 
●シイタケ(しいたけ、椎茸)
  シイノキに子実体が発生するところから名付けられた。天然には他にコナラ・クヌギ・カシなど広葉樹の切り株・枯れ木に発生する。かさが開いていない肉厚のシイタケを どんこ(冬茄)、全開した肉薄のものを こうしん(香信)という。
   生シイタケの成分
   水 70%
   タンパク質 7.6%
   脂肪 0.9%
   糖 11.4%
   繊維質 2.5%
   石灰 0.3%
   エルゴステリン 0.26%(乾燥品):ビタミンDの前駆体
   エリタデニン         :コレステロールを下げる
 シイタケは食料と同時に著しい薬効を持つ。
@抗腫瘍作用 生シイタケの熱水抽出エキス(多糖類:レンチナン(lentinan)・シゾフィラン(schizophyllan))が、sarcoma-180の成長を阻害。レンチナンは近く制ガン剤として製品化。注意することはレンチナンは多量に投与すると逆に効果が弱くなる。レンチナンなどの抗腫瘍多糖類は免疫増強以外に、胸腺の機能を増強する作用もある。
A抗ウイルス作用 シイタケの胞子から抽出・精製された2本鎖RNAにインターフェロンを誘起させる作用がある。インフルエンザに対しシイタケが治療効果を有するのはこのためである。2本鎖RNAは、エールリッヒ腹水ガンに対し明らかな制ガン作用が認められた。
B降コレステロール作用 血中のコレステロールが低下し、血圧が低下。成分は「エリタデニン」である。
C二日酔い除去 シイタケを煎じて服用すると、二日酔いが早く取り除かれる。
D強壮作用  
◇薬効@:食あたり、暑気あたり、魚の中毒には、シイタケを煎じて飲むか、熱湯につけ、湯が黄色になったらその汁を飲む。
◇薬効A:咳は、シイタケを煎じた汁に砂糖、または蜂蜜を入れて飲む。
◇薬効B:シイタケのインターフェロン惹起物質等 薬効を求めるなら、シイタケウィルス摂取が効果的。
 薬効@〜Bのシイタケ購入時の注意:菌糸体や胞子が多く含まれる「どんこ」を選択する。



●ジギタリス
  別名:キツネノテブクロ(Foxgloveの直訳)
 ゴマノハグサ科ジギタリス属。ヨーロッパ原産の帰化植物。日本には江戸時代に渡来し、薬用植物や観賞用に栽培され一部野生化している。苗屋(近 小平薬草園)で、花が咲いてる鉢=460円・葉の繁った鉢=260円(平成17年5月)。
 強心配糖体「ジギトキシン」「ジゴキシン」「ラナトシドC」が全草にあり、とくに葉に多く含まれている。うっ血性心不全、不整脈の治療薬として用いられている。蓄積作用があり、適量でも連続投与で急性中毒と同様の症状が出る。急性中毒になると、悪心、頭痛、嘔吐、下痢、視覚異常、錯乱、不整脈、中枢神経麻痺である。ジギトキシンのアグリコンはステロイド「ジギトキシゲニン」である。ジギトキシンの半数致死量12.2mg/kg、ヒトの推定致死量5mg/kg。
 日本薬局方のdigitalisはDigitalis purpurea Linneの葉を60℃以下で乾燥し、葉柄及び主脈を除いて細切したもの。灰緑色〜灰黄緑色で薄い葉身の細切片からなる。1gにつき8〜15ジギタリス単位、極めて苦い。ジギトキシン、ギトキシンなどの強心配糖体を含む。昭和54年頃から薬用の栽培は中止された。
極量:1日0.1g(維持療法)。
ジギタリス葉の推定致死量:2g
digitoxin推定致死量:5mg、マウス(経口)LD50 7.5mg/kg、
             ヒト血中中毒濃度40ng/?
digoxin推定致死量:10mg、イヌ(経口)LD50 0.3mg/kg、
             ヒト血中中毒濃度2ng/?以上。
 イギリスで浮腫の治療に用いられていた民間薬を分析して、ジギタリスの葉が心臓病の特効薬であることを開業医ウィザーリング(効用・薬用部位・適量を科学的に特定)が心臓疾患治療薬に導いた(1785)という、薬学史上有名なエピソードがある。ウィザーリングは乾燥ジギタリス葉を少量づつ投与する治療法は今日でも正しいと評価されている。コンフリー(ムラサキ科、別名ヒレハリソウ、原産:コーカサス地方)の葉に似ているので注意。
●ジギトキシン
 ジギタリス強心配糖体の主成分、持続性強心薬、強心ステロイドである。
 
 
 



●シキミ
 シキミ科シキミ。セスキテルペン系「アニサチン」を含み、中毒症状は強い嘔吐・痙攣が起きる。
 ミヤマシキミ・ツルシキミはミカン科に属する。アルカロイドはスキミアニン・ジクタムニンを含んでおり、中毒症状は強い痙攣である。
 
●子宮ガン
 子宮の下3分の1の円柱状の部分を「子宮頸部」、上3分の2の膨らんだ部分を「子宮体部」と呼び、それぞれに発生したガンを子宮頸ガン、子宮体ガンという。子宮頸部はさらに子宮頸管と膣部に突出した子宮膣部に分けられ、それぞれ子宮頸管ガン、子宮膣部ガンと呼んでいる。
 
●子宮頸ガン
 膣部の表面は多層の扁平上皮細胞、頸管の表面は一層の円柱上皮細胞の粘膜で覆われ、両者の境目を「扁平・円柱上皮接合部」と呼び、多くの子宮頸ガンが発生する。接合部付近の粘膜が損傷すると、修復するため円柱上皮細胞の予備細胞が増殖し、伸びてきて接合部で扁平上皮細胞に変わる。この増殖・変化の過程でガン細胞が異常増殖を始める。円柱上皮細胞の性質を持つ増殖すると腺ガンになり、扁平上皮細胞になってから増殖すると扁平上皮ガンになると言われている。子宮頸ガンは病理学的に扁平上皮ガンと腺ガンに分けられ、日本人は扁平上皮ガンが90%以上、腺ガンが6〜7%である。
 扁平上皮ガンのリスクファクターは、@独身者より既婚者に多い。A早婚で、妊娠・出産経験の多い人に多い。Bセックスパートナーの多い(セックスパートナーの多い夫の妻にも多い)人に多い。C多発年齢は40歳代半ばだが若い人にも見られる。D喫煙、ビタミンA不足である。扁平上皮ガンとウイルスの関係がある。単純ヘルペスウイルス、ヒトパピローマウイルス(HPV:ヒトにいぼを作る)などで、セックス時にコンドームを使用すると子宮頸ガンになりにくい報告もある。
 初期段階は子宮全摘出術(子宮とその周囲のリンパ節の切除)で、ほぼ100%の完治が可能である。U期以降のガンは、扁平上皮ガンに対し放射線療法が特に効果があることから、外科手術と放射線療法の併用、放射線療法でガンの縮小をしてから外科手術を行う。
 
自覚症状
◇おりもの
 0期の場合、自覚症状はほとんどないが、少量の血が混ざったピンク色のおりもの(通常は出血を伴わない)が混ざっていたら、受診する。
◇性器からの出血
 T期、U期になると崩れやすくなった組織が刺激を受けて出血する。出血には性行時出血(セックスの刺激で性行時・性交後に出血)と接触出血(スポーツ・排尿・排便時に出血)の2種類がある。性器からの出血は子宮頸ガン・体ガン共に90%以上に見られ、子宮ガンを発見する自覚症状である。
◇痛み・頻尿・残尿感
 V期以上に進行すると、深部に浸潤し、骨盤壁に沿ってある神経を圧迫して痛みを感じるほか、膀胱炎が起こりやすくなり、尿感を圧迫され頻尿、残尿など排尿時の異常を感じてくる。
◇末期症状
 W期になり、膀胱や直腸に及ぶと、膀胱や直腸に穴があき、尿や便が膣に流れ出す尿瘻現象や糞瘻現象などが見られ、さらに肺・肝臓・骨に転移する。
 
●子宮頸ガンの病期と病巣の大きさ(日本産婦人科学会による分類)
0 期  上皮内に限局するガン(浸潤前ガン)
T 期  子宮部に限局するガン
Ta期  微小浸潤ガン(3mm以内)
Tb期  Ta以外のT期ガン
Tc期  通常の臨床検査では認められないが円錐切除や摘出子宮で組織的に明瞭な浸潤が見られるガン。
U 期 子宮頸部を超えて広がっているが、骨盤壁または膣壁の下3分の1に達しないガン。 
Ua期  膣壁浸潤が認められ、子宮傍組織(子宮近くの組織)浸潤が認められないガン。
Ub期   子宮傍組織に浸潤が認められるガン。
V 期  浸潤が骨盤壁にまで達し、腫瘍塊と骨盤壁の間に間隙がないもの、または膣壁浸潤が下3分の1を超えるガン。
Va期  膣壁浸潤が下3分の1を超えるが、子宮傍組織浸潤が骨盤壁に達しないガン。
Vb期 子宮傍組織浸潤が骨盤壁に達したガン。
W 期 
Wa期  膀胱・直腸粘膜をおかすガン。
Wb期   遠隔転移の見られるガン。
 
●子宮頸ガンワクチン
 子宮頸ガンはHPVが原因と考えられ、ウイルスはイボを作るウイルスに似ています。子宮頸ガンワクチンが実験段階で実用化されつつあり、2392例の若い女性を対象とした研究結果は100%有効でした。6ヶ月間に3回投与されるこのワクチンは、子宮頸ガン予防であり、治療には向いていません。性的に活発になる前の女性に接種すれば、最も優れた予防法になるでしょう。
 HPVは姿を見ることはできても、増殖出来ないウイルスで、感染経路は的確に把握されていないので、性交渉による感染と仮定しています。また男性器にもHPVが生息している場合もあり、女性が発病する原因だと考えています。ですから、性的に活発になる前の女性年齢層に接種すれば有効度が増すでしょう。
 
●子宮体ガン
 子宮の奥にある体部に発生するガンである。子宮ガン全体の20%を占める。子宮体ガンの90%以上が腺ガンで、発生原因は、遺伝・ホルモンなど内的な因子がによると言われる。
 子宮体ガンのリスクファクターは、@高齢者や閉経症の50歳代半ばのヒトに多く、ほとんどが40歳以降である。A独身者、妊娠・出産経験者の少ないヒトに多い。B肥満のヒトに多い。C遺伝傾向が強い。とホルモンや遺伝など内的因子によって発症している。これらのリスクファクターは、動物性脂肪の過剰摂取により、脂肪の一部がホルモンの一種「エストロン」などに変換されることが原因の一つと言われている。
 体ガンの進行は遅く、早期発見が多い(T期で80%・U期で10%)ため、5年生存率は80%である。治療法は扁平上皮ガンほど放射線療法が有効でなく、一般に手術療法・化学療法剤治療を行う。
 
●子宮体ガンの病期と病巣の大きさ(日本産婦人科学会による分類)
0 期  治療統計に含まれない。
     異型内膜増殖症=上皮内ガン
     組織所見は悪性を疑わせるが決定的ではないもの。
T 期  子宮体部(子宮峡部を含む)に限局するガン。
U 期  体部及び頸部に広がるが子宮外に広がらないガン。
V 期  子宮外に広がるが、小骨盤腔を超えないガン。
W 期  小骨盤腔を超えるか、明らかに膀胱または直腸の粘膜を侵すガン。
     胞状浮腫だけではW期に分類しない。
Wa期  膀胱・直腸・S状結腸・小腸など隣接臓器に広がったガン。
Wb期   遠隔転移の見られるガン。
 
●脂質の分類(単純脂質)
 脂肪酸と各種アルコールとのエステル。
@ 中性脂肪(油脂・グリセライド)、脂肪酸と水酸基3つを持ったアルコールであるグリセロールとのエステル。
A ロウ、脂肪酸とグリセロール以外のアルコールとのエステル。
 A 真正ロウ 蜜ロウ・鯨ロウなどで、高級アルコールと高級脂肪酸とのエステル。(高級=Cが多い)
 B コレステロールエステル コレステロールと脂肪酸とのエステル。
 C ビタミンAエステル
 D ビタミンDエステル
 
●脂質の分類(複合脂質)
 脂肪酸とアルコールのエステルで、さらにリン酸・含窒素化合物・糖・硫酸などを含む。
@ リン脂質
 A グリセロリン脂質:リン酸基・塩基を含んだ脂肪酸とアルコールのエステル。代表的なものに、レシチン・ケファリン(フォスファチジルエタノールアミン)がある。
 B スフィンゴ脂質:神経細胞(脳を形成)の軸索部分を包み込むミエリン鞘の成分。
A 糖脂質 脂肪酸とアルコールのエステル、糖質を含む。
B スルフォリピド 硫酸基を持つ。
 
●脂質の分類(誘導脂質)
 単純脂質・複合脂質の加水分解物・水に不溶、脂肪溶剤に可溶、不鹸化物の主成分をなすものを言う。
 脂肪酸・直鎖アルコール(セチルアルコールなど)・コレステロール・エルゴステロール・ビタミンA・ビタミンD・ビタミンE・スクワレンなどである。
 
●シスプラチン
 1961年、B.ローゼンバーグ(米)らが発見した白金制ガン剤。臨床に広く用いられ、膀胱ガン・卵巣ガン・睾丸ガン・頭頸部の腫瘍に有効で、最近では肺ガン(小細胞腫瘍)にも有効と報告されている。
 シスプラチンは幅広い制ガン性を示すが非常に激しい「腎毒性」を持ち、猛烈な吐き気と嘔度を引き起こし、難聴になる。シスプラチンは一度に大量投与すると制ガン作用を示すが、少量長期投与すると、肝臓にガンの発生を呈する報告がある。副作用をなくす第二世代の白金制ガン剤の開発が進み、「カーボプラチン」、「イプロプラチン」が開発された。
 
●自然免疫
 病原菌は、皮膚の角層バリアーと皮膚腺の分泌物、粘膜、胃酸、気管の繊毛などで体内への侵入を阻止されている。また気道などの粘膜中に含まれるリゾチーム(タンパク質分解酵素)・インターフェロン(抗ウイルス性タンパク質)が作られやすいか、NK細胞(感染細胞の破壊)・マクロファージ(異物を処理)の機能が高いか・低いかで決まると言われる。
 インフルエンザに感染すると、ウイルスは気道の粘膜上皮細胞の受容体(グライコフォリン)に結合し、ウイルスの遺伝子を細胞内に送り込んで増殖する。侵入された細胞はインターフェロンを合成、ウイルスに抵抗を始める。同時にマクロファージや白血球が粘膜上皮細胞周辺に集まり、感染細胞を破壊したり、貪食する。この時にマクロファージや白血球はIL−1を作り、NK細胞が働き感染細胞を殺していくのだ。IL−1(炎症性物質)は脳(発熱中枢)に作用、体温を上昇させると同時に、関節や筋肉にも働きかけ炎症を起こす作用もある。 これらが破られれば免疫の出番である。自然免疫は病気にかからないための免疫プロセスで、体液性防御因子(インターフェロンなど)・好中球・マクロファージなどで外敵一般に働くが、狭義の免疫とは獲得免疫ある。
 
●シソ(青シソ)の葉
 フラボノイド配糖体(ルテオリン・アピゲニン)の抗アレルギー作用、ロズマリン酸は麦芽糖からグルコース抑制があり、ダイエット効果がある。
 赤紫蘇にはα−リノレン酸・ロズマリン酸・ルテオニン・アントシアニンなどの成分が含まれている。
 花粉に対して抗体異常発生の抑制作用と、炎症反応の抑制作用が認められる。

 
青シソ葉………20枚
水…………… 600cc

 20分程度煎じ、1日3回服用する。
 
●湿布剤
 捻挫には生薬湿布剤が意外に効を奏する。
黄柏(粉末)……………適量(楊梅皮なども可)
食酢……………………適量
 生薬に食酢を加え軟膏程度の硬さに練り、布に1〜2mm程度の厚さに塗り患部に貼り付ける。包帯でずれないようにする。湿布剤が乾燥したら新しいものと取り替えること。使用直前に粉末化するのが良い。
 
●シニグリン(グリコシノレート)、グルコブラッシシン
 からし油配糖体ではシニグリンが名高く、からし・わさび・大根に含まれる。酵素ミロシナーゼにより加水分解を行い、からし油のアリルイソチオシアネート(CH2=CH-CH2-N=C=S)・グルコース・硫酸カリを生じる。
 アブラナ科植物はシニグリンにより化学的寄生障壁を構築するが、同時に昆虫進化によりシニグリンや遊離アリルイソチオシアネートが摂食刺激になる昆虫も出現。ヨーロッパ産オオモンシロチョウは、アブラナ科の特異的二次代謝成分(カラシ油配糖体)が幼虫を誘引する摂食刺激物質と進化し、食草以外の葉にからし油配糖体を塗った後の摂食を確認し、これらの行動から初めてフェロモンと呼んだ。(1911・フェルシャフェルト・オランダ)
 
●シネオール(ユーカリプトール)
 ユーカリを含むフトモモ科や、テンニン科の樹木の精油成分である。医学的に呼吸器系疾患の苦痛の軽減に効果があるが、粘膜と皮膚に対しては刺激性を示すので使用は控えたほうがよい。 
 
●シノメニン(sinomeine)
 ツヅラフジ科オオツヅラフジなどの茎・根茎に含まれる主アルカロイド。
 中枢神経抑制・血圧降下・抗炎症・抗アレルギー作用がある。老人性関節炎などの鎮痛薬に用いられる。
 
●ジピコリン酸
 納豆の粘液(ムチン)中に存在する抗菌物質、抗ウイルス作用物質。ウイルス感染病(インフルエンザなど)に効果がある。
 
●脂肪
 一般に動物性のものは常温で固まっており、植物性のものは液状である。動物性であっても魚の脂肪は常温でも液状であり、パーム油や椰子油などの植物油は常温で固まっている。
 常温で固まっている脂肪は飽和脂肪酸(パルミチン酸、ステアリン酸など)が多く含まれており、液状のものには不飽和脂肪酸(多価不飽和脂肪酸 @n−6系列 リノール酸、γ−リノレン酸、アラキドン酸。An−3系列 α−リノレン酸、EPA、DHA)が多く含まれている。
 飽和脂肪酸は血液中のコレステロールを上げ、逆に不飽和脂肪酸(リノール酸の含有量の大きいもの)はコレステロールが上がるのを防止したり、低下させ、この比は2:1である。
 植物油に大量に含まれるリノール酸は、コレステロールを下げるだけでなく、血圧を下げる働きもある。
 ぶり、ハマチ、にしん、いわし、まぐろ、あなご、あじ、うなぎ、さば、さんま等青背の魚はEPA(エイコサペンタエン酸)とDHA(ドコサヘキサエン酸)の二つの不飽和脂肪酸を多く含んでいる。EPAとDHAは一緒になって、コレステロールや中性脂肪を少なくする。動物実験では、HDLを増加させる作用はリノール酸よりEPAの方が優れていた。
 EPAは体内で、プロスタサイクリンI3やプロスタグランジンE3を作り出す。プロスタサイクリンI3は血小板が凝集するのを押さえ、血液が凝固せず血栓が出来にくくする物質であり、そのうえ血管を拡張して、血圧を下げる働きもある。プロスタグランジンE3は血管を拡張して血液を流れやすくする作用がある。青背の魚に含まれるEPAとDHAは、動脈硬化を予防し、血栓が出来にくいため、高血圧や心臓病(心筋梗塞、狭心症)によい。
 逆に不飽和脂肪酸は過酸化脂質(細胞膜を傷害)になりやすく、これが多いほど老化が早く進行する。過酸化脂質の増加を防ぐには抗酸化作用のあるもの(ビタミンE、サポニン)を同時に摂取する。
 
●脂肪酸(fatty acid)
 炭素数が4個以上の偶数個の炭化水素鎖をもつカルボン酸である。(右にカルボキシル末端、左にメチル末端を持つ)
 @ 飽和脂肪酸:直鎖型で完全に飽和(化学式の炭素の結合手が全部水素で結合)されている。化学的に安定な構造。不乾性油・脂肪の成分として多く含まれる。
        【炭素数:不飽和結合数(二重結合) : 融点 ℃】
 酪   酸     4:0
 カプロン酸     6:0
 カプリル酸     8:0
 カプリン酸    10:0
 ラウリン酸    12:0           : 44
 ミリスチン酸   14:0           : 53
 パルミチン酸   16:0           : 63
 ステアリン酸   18:0           : 69
 アラキン酸    20:0           : 76
 セロチン酸    26:0 ミツロウ
 
 A 不飽和脂肪酸:1〜6個の二重結合を含んだ水素が不足している脂肪酸で、二重結合が一つあるごとに水素原子は2個ずつ減少する。また二重結合の数が増す毎に不安定になり、空気による酸化・加熱による変化などを受けやすくなる。乾性油は不飽和度の高い脂肪酸を多く含んだ油である。              【炭素数:不飽和結合数(二重結合※1): 融点 ℃】
 ミリストオレイン酸14:1
 パルミトレイン酸 16:1(9)         :   0  
 オレイン酸    18:1(9)         : 16
 リノール酸    18:2(9,12)       :  5
 リノレン酸    18:3(9,12,15)      :−11
 アラキドン酸   20:4(5,8,11,14)     :−50
 エイコサペンタエン酸20:5
 ドコサペンタエン酸22:5 イワシ酸
 ドコサヘキサエン酸22:6
※1 カルボキシル末端から数え、表示数と次数にわたり二重結合が存在) 
 
 脂肪酸は遊離の形で存在するほか、トリグリセリド・ワックスおよびリン脂質、糖脂質などの複合脂質に含まれている。花粉には10〜20%の遊離脂肪酸が含まれている。
 炭素数8〜10の脂肪酸は20〜30ppmの濃度で花粉の発芽・花粉管伸長および生殖核の分裂を抑制する。ミルミカシンは50〜100ppmでツバキ花粉の花粉管伸長を抑えることが知られている。
 不飽和脂肪酸の二重結合はシスとトランスがある。炭素数18個、二重結合1個の脂肪酸でシス型をオレイン酸、トランス型はエライジン酸である。天然の不飽和脂肪酸は殆どシス結合であり、不飽和脂肪酸は二重結合部で大きく曲がり、分子間が離れ、融点が低くなる。
 不飽和脂肪酸に水素を付加させた油を、硬化油(普通は固体)という。
 
●ジャガイモ(馬鈴薯・ジャガタライモ・Potato)
 ナス科Solanum tuberosum L.(学名)。
 主成分………糖質(77Kcal/100g)
       ビタミンC(約23mg/100g・熱に強い)
       レクチン(免疫力増強、微生物・ガン細胞の排除作用)
       食物線維(大腸ガン予防)
 熊本大学・野原稔弘教授はジャガイモ抽出のステロイドアルカロイド配糖体に抗ガン作用を持つと発表。作用が穏やかで一般抗ガン剤の様な副作用は少ない。生ジャガイモの絞り汁を飲み続けると(野菜ジュースを加えても可)、殺ガン細胞に有効である。
 コナフブキ品種は果実(ベリー・漿果)が付き、緑色が薄まり黄色味を帯び、多少柔らかくなると食べられる。美味くはないが、果実の中には甘い香りがし、ポテトグリコアルカロイドが10mgと少なく果物に近いものがある。果実酒にするとメロンの香りがする。
 イヌホウズキや生ジャガイモに含まれるステロイドアルカロイド配糖体がガン細胞に有効であり、果実を少しづつ食べるのも悪くはない。
 1974年1月(北海道士幌農業協同組合)からγ線照射、発芽抑制(3月〜5月頃の端境期に処理)ジャガイモも流通している。
 発芽部分・緑化表皮部分は、ソラニンを含み、加熱調理をしてもほとんど分解されないため中毒事故(嘔吐・下痢・腹痛・眩暈・呼吸困難)が起きる。
 
●ジャムウ
 インドネシアで植物の根・葉・樹皮を用いた伝統的治療薬のこと。
 健康飲料用・虚弱体質用・産後用・ 肌用・バストアップ用・ダイエット用・精力剤などがあり、経口摂取や塗布摂取する。
 ブラス・クンチュール:ばんうこん・煎った米・沈香・ほか(美容・健康)
 ベダック・ルルール:ターメリックほか(角質除去作用がある伝統パック剤)
 ミニャック・チェンダナ:白檀オイル(筋肉疲労・肌のトリートメント)
 化粧水 +バラエキス:乾燥肌用
     +キュウリエキス:脂性肌用
     +柑橘系エキス:ニキビ肌用
 パック +海草:肌の若返り効果
+くず芋:美白効果
 
●重曹(sodium bicarbonate, baking soda・NaHCO3)
  別名:ベーキングソーダ(パウダー)・ふくらし粉・
     炭酸水素ナトリウム・重炭酸ソーダ
 水溶加熱すると炭酸ソーダに変化する。
 重曹は水に溶けにくい上に粒子が細かいので研磨作用がある。
 酸性の匂い(汗・靴が蒸れる・漬物)は、重曹アルカリで中和、消臭される。
◇重曹ハチミツドリンク(心臓を強化)
 重曹ハチミツドリンク(1回分)
   水…………………………200cc
   重曹………………………0.5g
   ハチミツ………………… 10g
◇重曹レモン発泡水(肥満防止)
 重曹レモン発泡水
   水(冷たい水)……………200cc
   レモン汁……………1/4個分
   重曹……………………… 3g  
重曹水を飲むと1回の心拍につき血液送出量を10cc節約し、高血圧・心筋梗塞を予防する。(体重70kg・10ccの人で1時間42リットル分節約)
◇肉の調理1〜2時間前にすりこむ(タンパク質分解を促し痛風予防)
◇緑茶・紅茶に使う湯に一つまみ入れる
 (ミネラルの吸収を良くし、免疫力を高め味もまろやかにする)
◇コーヒーに使う湯に一つまみ入れる
 (ミネラルの吸収を良くし、免疫力を高め酸味をやわらげ胃潰瘍予防)
◇重曹ペースト(美肌効果・虫刺されの痛み・痒み緩和)
 肘・膝・踵などの古い角質が柔らかくなり、肌のスベスベ効果が高まる。
 重曹ペースト
   重曹 ……………15g(大匙1)
   水 ………………5cc(小匙1)
 容器に入れた重曹に水を少しずつ加えて練る。
 肌に塗って15分程度経ったら、きれいに拭き取る。
◇重曹オリーブペースト(小鼻まわりなど、毛穴の汚れ取り)
  重曹オリーブペースト
   重曹 ………………15g(大匙1)
   オリーブオイル ……5cc(小匙1)
 重曹にオリーブオイルを加えよく混ぜ合わせる。
◇ペット(犬など)を洗う
 湯に大匙2杯の重曹を混ぜ洗うと、毛はふわふわ・嫌な臭いもなくなる。
◇重曹溶液(部屋に噴霧して空気中の細菌を死滅、消臭効果・気管支炎・肺炎を防ぐ)
 重曹殺菌・消臭剤
   重曹 ………………15g(大匙1)
   水……………………………250cc
 水に重曹を入れよくかき混ぜる。
◇重曹で歯を磨く(口内が殺菌、虫歯予防・口臭除去、口中がサッパリ)
◇超軟水に
 硬水に重曹を溶かすと、金属イオンを挟み込み(キレート)、水を軟らかくして理想的超軟水に近づける。
 風呂に溶かせば(水200リットル:重曹25〜35g)、炭酸の効果で血行が良くなり・肌にチクチクしない優しい湯になる。重曹水はナトリウムを豊富に含み、油脂などの汚れに対し乳化による高い洗浄効果を、手肌におだやかな保湿効果をもたらす。重曹50gにエッセンシャルオイル1滴を加えると香りも楽しめる。
◇アルカリ土壌を好む花を綺麗に咲かせるには薄い水溶液を土壌に撒く。
◇ごく薄い水溶液に切り花を入れると、花持ちがよくなる。
 
●集学的治療
 外科・内科・放射線科の医師が共同して手作りの治療に当たることをいう。
 膵臓ガン治療では、根本治療を行った上で、手術中に放射線を照射する、他の臓器(特に肝臓)への転移を防ぐため集中的に薬剤を投与するなどを行う。
 
●樹木の防御
 葉、幹のクチクラ層や、コルクで出来ている樹皮などが壊されると、防御システムが働きはじめる。人間の場合、病気のもとになるものを抗原、これに対抗して作られる防御物質を抗体というが、植物の場合病気の原因になる抗原を「エリシター」、これに対抗するため作られる毒を「ファイトアレキシン」と呼ぶ。
 針葉樹などでは、樹脂細胞、樹脂道、乳液分泌細胞が破壊されると、流れ出した樹脂や乳液などでとりあえず傷の表面が覆われる。傷ついた細胞は死んでしまうが、周辺、背後の細胞群は、仲間の細胞が傷ついたことを知ると、直ちに植物ホルモンの一種であるエチレンガスやエタン等の合成と体外への放出を始め、これをトリガーとして、次々と防御反応が起こる。
 まず、傷の表面では非透水性のスベリンやリグニンの合成が始まり、傷口が覆われ、水分の蒸発を防ぐ。師管(葉からの光合成物や根からの栄養成分の通り道)が切断された場合は、特別の多糖類「カロース」が合成され、樹液の流出を防ぎ、同時に抗菌作用の働きをもって、病原菌の進入を防ぐ。傷口で抗菌性ポリフェノール類の合成を行う樹種もある。
 傷の周辺部では植物ホルモン(本来は芽・若葉で合成される創傷ホルモン)が傷を受けたことを引き金に合成を始め、傷周辺部の細胞は異常な速度で細胞分裂を繰り返し、最終的には外傷部分を完全に覆ってしまう。
 病原性バクテリア、カビに感染すると、植物や病原菌の分泌する酵素により、植物の細胞壁が加水分解される。この細胞壁分解物が植物にファイトアレキシンを合成する指示薬になる。植物の細胞壁は大部分多糖類で出来ており、セルロースが20〜30%で、残りはマトリックス多糖(ペクチン系多糖類)とヘミセルロースである。ファイトアレキシン合成を促すのは主に、マトリックス多糖類が加水分解して出来たオリゴ糖(7糖・中糖・多糖が100のファイトアレキシンを作るとすると、6糖が75%、4・5糖が50%、3糖が25%)である。マトリックス多糖類の構造は複雑であり、加水分解して出来るオリゴ糖の種類は膨大である。その中から生理活性のあるオリゴ糖を「オリゴサッカリン」と名付け、植物の発生、成長、生殖に関係している。
 
●受容体と薬
 20世紀はじめ(1905)、英国の生理学者ラングレーが、骨格筋はニコチンによって収縮するが、クラーレによって抑制されることから、生体には二つの薬物が共通に作用する場所があることを推定し、「受容物質」と名づけた。ニコチンはこの受容体と結合して作用を起こすが、クラーレはニコチンに拮抗して作用を抑制する。薬物は活性物質(アゴニスト)と拮抗薬(アンタゴニスト)に分けられ、自然の植物の中には、特異的な拮抗薬となるものが多く含まれている。例えばアセチルコリンに拮抗するアトロピンやアドレナリンに拮抗する麦角アルカロイド等である。
 
●腫瘍マーカー
 ガン細胞が作り出す糖タンパク質を、ガンの存在の指標(マーカー)として利用している。ガンの検査として保険で認められているもので約20種、発見されているマーカーは200種類以上ある。血液検査でガンの状況がわかるが、初期の小さなガンには無力である。
 
●証
証(体質)の「寒熱」判断表
 
 
手 足 冷たい 温かい
顔 色 青白い 赤 い
毛 髪 しめった猫っ毛 乾燥して茶色
潤んだ涙目 赤く充血
鼻 水 水っぽい 粘りけがある
耳の分泌物 サラサラしている 粘りけがある
唇の色 青白い 赤 い
色が淡く苔が白い 色が濃く苔が茶色
あまり渇かない 渇きやすい
普段より遅い 普段より早い
食 欲 不 振 旺 盛
飲み物 熱いものが好き 冷たいものが好き
湿っぽい 乾燥している
―― 割れやすい
尿 白っぽい 濃い黄色
便 下痢気味 便秘気味
生理の周期 長くなる 短くなる
おりもの 白っぽくサラサラ 黄色くネバネバする
精神状態 冷静で物静か イライラ焦りがち
性 欲 淡泊型 亢進型
睡 眠 長 い 短 い
季 節 夏に強い 冬に強い
 
●正倉院薬物
 
 光明皇后によって献納された種々薬帳(しゅじゅやくちょう)が残されており、この薬帳に記載されていない薬は帳外薬物と区別される。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
 









本田義昭著
「ハーブ・スパイス・漢方薬」
丸善発行より
 

●消化酵素と消化・吸収
 消化とは、栄養成分を身体が取り入れやすい形に分解することで、その分解は酵素の助けを借りて行われる。酵素は体内におよそ2500種あると言われており、この一部が食物を分解する作業で、この酵素を消化酵素と呼んでいる。
 デンプンは唾液中の酵素「アミラーゼ」が、グルコースを断ち切り、だんだん小さな分子にしていく。最終的にはグルコースが2個結合した麦芽糖までの分解をおこなう。胃の中では胃酸によりアミラーゼの働きが停止させられ、分解は止まる。十二指腸で、膵液が吹きかけられ、膵液中のアミラーゼにより不十分な分解産物の分解が再開する。小腸に送られると粘膜表面の細胞の膜に結合した別種のアミラーゼと麦芽糖を分解する「マルターゼ」によりグルコース1個の形まで切り離され、吸収される。
 タンパク質は胃に行くまで分解はされず、胃酸によってもつれたタンパク質構造をほどき、切りやすい形になったときに、酵素「ペプシン」で短くする。小腸へ送られ、膵液に含まれている複数の酵素の働きによって小さなペプチドに分解され、腸壁の粘膜表面の酵素「アミノペプチダーゼ」の働きでアミノ酸1個の形まで分解され、吸収される。一部にはアミノ酸が2〜3個連なったまま細胞内に吸収され、そこでアミノ酸に分解されるものもある。
 脂肪は十二指腸で胆汁と混ぜ合わされて乳化され、膵液中の「リパーゼ」によってモノグリセリド(一部グリセリン)と脂肪酸に分解され終末消化酵素の影響を受けずに吸収される。そしてモノグリセリド、グリセリン、脂肪酸は細胞内で再び脂肪に合成され、それにタンパク質が添加されて乳状脂粒(リポタンパク質)となり細胞から出て、リンパ管を通して吸収され、最終的に血液の中に入って行く。
 
●浄化水
逆浸透幕で作られた水。
 逆浸透幕の穴は水分子だけが通り、他を通さない大きさで、0.0001ミクロン程度になっている。
 水中の不純物や細菌類、他の大きさを拾ってみると、
   1、カビ、サルモレラ菌は1〜10ミクロン。
   2、コレラ、チフス菌、大腸菌は0.1〜1ミクロン。
   3、エイズウイルス、日本脳炎ウイルス、インフルエンザウイルス、は0.01〜1ミクロン、
   4、ダイオキシン、砒素、農薬類、トリハロメタン、ハロゲン化合物は0.0005〜0.01ミクロン。
   5、水分子、リチュムイオン、金属イオン、各種ミネラルは0.0005ミクロン以下。
 したがって、上記の1〜4まではすべて皮膜を通過できない。また、水分子、リチュムイオン、金属イオン、各種ミネラルのうち0.0001ミクロン以上のものは、この皮膜を通過することが出来ず、皮膜上に堆積する。
 これを濃度が濃くなった水で洗い流し廃棄、皮膜の浸透効果を維持する。イオンやミネラルの大半は0.0001ミクロン以下でも通過する水分子作用で、皮膜通過が出来なくなるといわれているが理論は解明されていない。
◇逆浸透幕
 微小穴の皮膜を境に一方に塩水を他方に真水を入れると、浸透圧の差によって、塩分濃度の低いほうから高いほうに水が自然に浸透、皮膜を通って真水は塩水のほうに浸透して行く。
 ところが、濃度の高いほうの水に外部から浸透圧の差を越える圧力をかけると、水の分子は濃度の高いほうから低いほうに浸透する現象を逆浸透という。

●松根油(しょうこんゆ)
 針葉樹の根を掘り起こし、熱をかけて乾留して得られる油。普通はマツの根から採ったものをいう。収量は10〜20%。熱をかけ乾留したとき初めて出てきた油だけを松根油といい、後に出てくる油を松根タールという。乾留して得たものを蒸留して、200℃以下のものをテレピン油、300℃以下のものをパインオイル、後に残ったものはピッチである。テレピン油の成分はモノテルペン(ピネン・カンフェンなど)のほかトルエンなども含む。パインオイルの主成分はジテルペンやセスキテルペン、フェノール類である。主生産国はアメリカ・中国で、日本は全量輸入している。
 
●菖蒲(しょうぶ)
  別名:カラムス・ノキアヤメ・アヤメグサ
 サトイモ科ショウブ属。
 薬効:根茎(神経痛・リウマチ・鎮静・鎮痛・咳止・去痰・胃炎・消化不良)
 根・茎にアサロン・βアサロン(幻覚発動薬)を含み、乾燥粉末を鼻孔吸入すると幻覚を引き起こす。
 アヤメ科ハナショウブ・アヤメとは異なるので注意すること。
 
●生薬の基礎知識
 健康食品は一種類の生薬(しょうやく)で治療効果を期待することにあり、漢方薬のように数種類の生薬を配合して薬効を高める服用法ではない。
 西洋医学以外を代替療法と呼び、代替療法品として漢方薬、民間薬(アガリスク、プロポリス)などであり、民間薬などを一般に健康食品とも呼んでいる。薬事法で健康食品に薬効を謳うことは出来ないが、現実にはガン制圧を堂々と宣伝する健康食品だらけである。粗悪品(薬効が無い)を販売しても罰則規定がない健康食品は、金儲けをしたい人にとって格好の商品である。原材料の収穫場所、製造工程の簡略化、製品の希釈化、合成物添加による成分の水増し等々である。同時に販売者の言う「体質により効く人、効かない人がいる」などと抽象的語彙に惑わされやすいのであるが、治療実績がどの位あるのか、なぜ効果があるのか、徹底して調査することが大事である。西洋薬と異なり納得して始めたらに長期間服用を続けなければ効果がない。
 
●生薬の区分(第十三代目四目屋忠兵衛分類)
 
@植物類の成分を利用
 生薬の大部分が植物の成分を利用している。ヒト体躯に対しての活性成分は配糖体、テルピンなど非栄養素であり、ゆっくりと効く薬効である。副作用が少なく、程度が軽い(発疹は多数報告あり)ため、服薬をやめれば治る。蛇足ながら副作用という事だけで述べると、全く作用のない物質を与えた場合でもヒトは10%前後で副作用が起きることが臨床実験で確認されている。活性成分がアルカロイドや強心配糖体は、激しい薬効があるが中毒の危険がある。
 
A動物類の成分を利用 
 動物類が栄養摂取して作られた身体、もしくは分泌物。麝香(じゃこう、アジア東部に生息する牡麝香鹿の麝香嚢から分泌される類似ホルモン「ムスコン」)、熊胆(ゆうたん、熊の胆嚢)、酥蟾(せんそ、ヒキガエル分泌物)、などである。薬効が急激であり副作用も強い。「書経」に「もし薬瞑眩(めんげん、苦しくなる・吐く・出血する・症状の悪化)せずんば、その疾癒えず」とあり、薬も瞑眩を起こすぐらいでないと効かないという意味である。副作用の瞑眩か、薬の中毒か、病気の悪化か、鑑別が非常に難しい。
 
Bキノコ類の成分を利用
 子実体、ビール酵母の細胞膜などに含まれる糖分に特徴がある。
 
C動物に菌が寄生した両成分を利用 
 虫(動物)が茸に寄生されると、体内で抗体が産生される。動物は茸の繁殖に従い抗体を増し、茸は一般的成分外に栄養源がタンパク質の塊であるが故に、茸類が特異的に産生するアミノ糖などを産生する。茸は栄養分がなくなると生命の維持を諦め胞子を作る。この事から子実体ができあがった時点で採取する。冬虫夏草は茸により侵されたもの、侵したものという生体戦争の結果、特異的成分が生成されたものである。
 
D動物が植物を加工した成分を利用 
 中国の食材で「ツバメの巣」がある。金糸燕(アナツバメ、和名:シロハラアナツバメ)が海草を食べ、唾液で巣(N−アセチルノイラミンの存在は確認)を作ったものである。
 ツバメ以外にミツバチが作る生成物にロイヤル・ゼリー、プロポリスがある。昆虫の糖脂質に特異性があること、極小器官から小分子量生成物が産生されるなど、生理活性が大きく医学的研究を促さなくてはならない。
 
E植物に動物が寄生した両成分を利用 
 虫瘤である。マタタビの花にマタタビタマバエが寄生して「木天蓼子(もくてんりょうし)」を作る。卵形の虫瘤である。漢方薬、民間薬では煎じたり、粉末にしたり、酒に浸けエキスを飲んだりして用いる。他にフジ瘤など。
 
F植物が動物を加工した成分を利用 
 食虫植物の内皮(幹の中心は根から水を上げ、栄養分は外側の内皮に貯蔵する)を利用する物である。例えば、イペ(商品名:タヒボ、ラパチョ)の内皮であろうか。
 
G無機物質
 これに関しては忠兵衛は関心がない。ただ、葉緑素とヘモグロビンのヘムはポルフィリン環構造で、異なるのは中心にある物質がマグネシウムか鉄かであるといってよい。無機元素が重要なことは理解できるが代替療法事典では省略する。 
 
●生薬
 世界各国に多種多量の民間薬があり、保存のため乾燥したものを「生薬(しょうやく)」、生のまま使うものは「草薬(そうやく)」・「青草(せいそう)」・「鮮薬(せんやく)」という。
 漢方薬の源流を辿れば、全て生薬は民間薬から発展したものである。
 江戸時代は生薬の販売店を「生薬屋:きぐすりや」と呼んだ。別ディレクトリーに生薬の項あり。
 
●生薬の摂取方法
 薬効成分は水に溶けやすい性質であり、水に溶かした成分は体内で吸収されやすく薬効が増す。これを漢方で「湯(とう)」と呼ぶ。「煎(せん)」は、薬効成分が溶けだした水溶液を更に加熱して飴のようにした物をいう。煮詰めて飴状になる生薬の一例は、ゴマノハグサ科の多年草の根を煎じて作った飴状の「地黄煎」で、特有の甘みがあり、七五三の千歳飴は名残りだといわれる。
 
●食道ガン
 食道は甲状軟骨(喉仏)から噴門(胃の入り口)迄の25cm位の長さであり、上から約5cmが頸部食道、次いで約17cmが胸部食道、噴門前約3cmが腹部食道に区分される。胸部食道に食道ガンの90%が発生し、頸部食道と腹部食道には約5%づつ発生している。
 食道壁は、粘膜層・筋層・外膜と3層からなり、粘膜層は扁平上皮細胞で覆われている。食道ガンは扁平上皮細胞がガン化し異常増殖したものをいう。ガン組織が粘膜から粘膜下層内に留まっているのを「表在ガン」、表在ガンの内リンパ節に転移してないのを「早期ガン」としている。
 食道の粘膜に潰瘍が出来ると神経がむき出しになり、熱い・冷たい・酸っぱい物・アルコールが通過すると神経が刺激され、しみいる感じがする。食道に隆起が出来ると飲食物が直接接触し、つかえる感じや食道に何かある感じがする。初期は固い物・大きい物を飲み込んだときにつかえる感じがするが、進行すると柔らかい物でもつかえる感じが、さらに進行すると飲み込むことが不能になる。(食道ガンの違和感は食事時に限っている)
 食道ガンのリスクファクターは、喫煙・飲酒・熱いものである。喫煙の食道ガンに対する寄与度は47.8%、口腔や咽頭などに付着した有害成分が唾液に溶け食道に流れてくるためである。強いアルコールを飲む地域、ワインなどを大量に飲む地域は食道ガンが多く、日本酒換算で毎日2合以上は要注意である。この喫煙(20本/1日)と飲酒(2合/1日)の常習者は両方やらないヒトの44倍の死亡率である。熱い物を毎日食べると、食道の粘膜を傷つけ、ここからガンの発生がある。疫学調査で熱い茶粥を好む奈良県地方のヒトに食道ガンが多く発生していることが確認されている。
 ガンが粘膜上皮に留まっており、下層にまで進行していなければ内視鏡で電気的に焼き切る。浸潤型でも薬剤で隆起させ焼き切ることも可能である。最近では内視鏡からレーザー光線でガン組織を破壊するレーザー治療法が進歩しており、治療率の向上に寄与している。
 
●食品添加物
@保存料:細菌・カビなどの増殖抑制をし、腐敗を防ぐ。毒性が強い。
A殺菌剤:細菌・カビなどを殺し、腐敗を防ぐ。@より毒性が強い。
B防カビ剤:柑橘類・バナナなどカビ・腐敗を防ぐ。発ガン性・催奇形性がある薬品がある。
C漂白剤:原料(野菜・果物・カズノコ)の漂白。毒性の強い薬品が多い。
D発色剤:製品の黒ずみを防ぐ。亜硝酸ナトリウムが含まれる。
E着色料:製品の着色。タール色素(構造から見て)は発ガン性が疑われている。
 他に、酸化防止剤・甘味料・結着剤・増粘剤・調味料・乳化剤・酸味料・膨張剤・pH調整剤・香料・強化剤がある。
 
●食物繊維 
 食物中の消化されない繊維。植物性ではセルロース・ペクチン・リグニン・コンニャクマンナン(マンナン)・アルギン酸など、動物性ではキチン(エビやカニの甲羅成分)など。穀類の外皮や胚芽・大豆・サツマイモ・ゴボウ・キノコ類・海藻類に多く含まれ、便秘・糖尿病・大腸癌・動脈硬化などを予防する。日本人1日の必要量は20〜25g。
 
●植物毒
@フラボノイドを含むフェノーリックス 
Aテルペノイド:幼若ホルモン、エクジソンなどはシダ、裸子植物で毒として使われ、複雑なククビタチン類、発情ホルモン、サポニン、カルデノライドなどは被子植物で作られる 
Bアルカロイド:被子植物になって毒物として作るものが現れ、毒としては新しいものである。まずイソキノリンアルカロイド、非タンパクアミノ酸、木本植物が作れるのはこのくらいで、草本植物になると青酸配糖体、アルカロイドが作られるようになった
 
●植物と成分、薬理作用
 植物の中に、沢山の成分が存在する。植物全体・葉・茎・根・種子などの成分はそれぞれ異なる化学成分である。植物は生長する事によって成分が産生することもよく見られる現象。
 
◇ブナ科
ブナ  乾留して出来るタールはクレオソート(消毒剤)の原料。バニラの成分バニリンの原料にもなる。
コナラ・ミズナラ タンニン他 コナラの乾皮は赤竜皮と言い、タンニンを大量に含み、収斂(血管収縮)作用がある。
クリ  タンニン他 葉は栗葉(りつよう)といい、タンニンを含み、収斂作用があり、かゆみを止め、皮膚のただれを治す。(タンニンは血管を柔軟にし、高血圧を治す効果がある)
◇カバノキ科
クマシデ カバノキ科の植物は精油成分がリウマチ、痛風に効果がある。
◇スギ科
スギ・コウヤマキ クリプト−ピマリック酸、α−ピネン、カジネン他
  樹幹から採る樹脂を杉やにと言う。松やにの代用とされた。
◇マツ科
  マツから採る松ヤニの臭いの成分には、動脈硬化を予防し、喘息の発作を防ぐ効果がある。松林の空気は、マツから発散されている成分で殺菌されている。マツ科植物の精油成分の代表はテレピン油だが、これは松やに(テルペンチン)から作られ、合成樟脳の原料である。樟脳とはカンフルのことで中枢興奮作用がある。松林を流れる空気にその効果が期待できるものだ。 
コメツガ・ツガ α−ピネン、カウンセン、セランローレン、ボルニルアセテート、ジペンテン、カジネン他
シラピソ・オオシラピソ α−ピネン、カンフェン、ボルニルアセテート他
シラベ
ハイマツ・カラマツ・アカマツ・クロマツ
エゾマツ・トドマツ 葉の揮発成分はジフテリアや百日ぜきの桿状菌をたちまち殺す。
リュウキュウマツ
モミ  針葉を細かく刻んだエキスは、原生動物を0.1秒で殺す。
◇ヒノキ科
ヒノキ ヒノキチオール、α−ピネン、ボルネオール、ボルニルアセテート、ターピニルアセテート、カジネン、フェノール、リモネン他
  精油成分を尿路消毒や淋病の治療に用いた。ボルネオールは消炎、 鎮静、鎮咳作用があり、大衆薬にも使われている。
アスナロ(=ヒバ) サディネン、サディノール、ジペンテン、ボルネオール、サビニルアセテート、ボルニルアセテート他
  総ヒバ造りの家には3年間は蚊が入らないという。錆を防ぐ物質もある。ボルネオールは、消炎、 鎮静、鎮咳作用がある。
クロベ(=ネズコ) α−ピネン、カンフェン、ボルネオール、ボルニルアセテート他
  ボルネオールは、消炎、 鎮静、鎮咳作用がある。
サワラ カジネン、α−ピネン、ボルネオール他
  カジネンは材に、α−ピネンは葉に含まれる。
◇クスノキ科
タブ クスノキのテルペンは、カンフルとして利用されている。中枢神経興奮、局所刺激作用がある。   
◇イネ科
タケ・ササ・チシマザサ・ヨシ・ススキ・トダシバ
  ヨシの根は廬根(ろこん)という漢方薬で、鎮吐(ちんと)利尿薬として利用されている。
◇ミカン科
ウンシュウミカン リモネン、ヘスペリジン、クエン酸他
  ミカンやオレンジの皮の揮発成分は赤痢菌などを殺す。果実の皮を乾かした物を陳皮といい、漢方では芳香性健胃薬とする。
◇ソテツ科
ソテツ 実に配糖体「サイカジン」を含む。
  種子は蘇鉄実といい、通経、強壮、収斂、不老長寿薬とする。中毒死することがある。
 
●女性ホルモン
 女性の一次・二次性徴を支配する性ホルモン。脳下垂体前葉のゴナドトロピン(生殖腺刺激ホルモン)によって支配され、卵巣から分泌される。卵胞からエストロゲン、黄体からプロゲステロンが交互に分泌され、女性性器官の性周期の正常な運行に関与する。
 
●しらこタンパク
 サケの精巣から抽出したタンパク質を分解・中和して作る。成分はプロタミンヒストン(塩基性タンパク質)。
 魚肉練り製品・そう菜・調味料などに保存料(ソルビン酸の代わり)として用いられる。
 
●自律神経
 自律神経系は、消化・循環・体温調節・生殖・呼吸など生命維持に必要な機
能を支配する神経である。これら諸器官は2種の神経で、二重に支配(交感神経の興奮による機能亢進、副交感神経の興奮による拮抗作用で抑制)される。
 生体全体で見ると、交感神経は生体の保持するエネルギーを駆動し、活発な行動や、外界からのストレスに適応し、精神的緊張を起こす。動物が闘争状態になると交感神経を興奮(交感神経の伝達物質「ノルアドレナリン:NAdr」と副腎から遊離される「アドレナリン:Adr」のホルモン作用)させ、@心臓の鼓動を促進 A血管(皮膚や内臓)は収縮し血圧を高める B血液を脳・心臓・骨格筋に多く供給 C肝臓のグリコーゲンをグルコースに解糖し血糖量を高める D気管支は拡張し呼吸機能を高める E瞳孔を開く などの変化を起こし、状況に適した状態になる。副交感神経は体躯の休養とエネルギーの蓄積に重要な役割を果たしている。昼間と比べ夜の睡眠時には副交感神経の緊張が高まる。心臓の鼓動抑制・血圧低下・瞳孔縮小などが引き起こされ、消化液の分泌や消化管の運動を高め栄養の補給を促進する。
 自律神経系の機能はアトロピン(アセチルコリンに拮抗)や麦角アルカロイド(アドレナリンに拮抗)の発見から薬物受容体理論により発達した。
 
●腎虚(じんきょ)
 腎臓・膀胱・生殖器の機能が悪くなり、男性の衰えを顕す歎老の病気、現在は前立腺肥大と呼ぶ。自覚症状は、口が渇く・尿の出が悪い・外尿・頻尿・残尿感・夜間にたびたび起きるなど。金匱要略は「小便不利者、八味丸主之」と述べている。
 
●神経系の分類
 
中枢神経系  脳・脊髄
 
末梢神経系  体性神経系(動物神経系) 
  運動神経 → 骨格筋
知覚神経 ← 皮膚(体躯表面)
  自律神経系(植物神経系)
交感神経 → 心臓及び
副交感神経→ 内臓の諸器官
 
●ジンゲロール(gingerols)

 ショウガに含まれる辛味成分。辛味性健胃剤。
 
●シンコニン
 アカネ科キナノキ属キナの樹皮に含まれるキノリン系アルカロイド。抗マラリヤ剤。
 
●身土不二
 漢方治療の思想。人は生活している土地と一体化することこそ理にかなった生き方である。農耕と漁業に親しんだ日本人は「穀物・野菜・魚」を捨てて、肉食中心になってはいけない。民族の違いで腸の長さ・歯の状態などが大きく異なり、このことは長年をかけて進化した結果なのである。
 
●神農本草経
 神農は紀元前の江淮(こうわい)文化圏(黄河と揚子江に挟まれた地域)の伝説上の帝王。太陽神・炎帝・薬王大帝・薬仙とも呼ばれる。
 中国における薬の歴史は毒の発見の歴史であり、薬物学を「本草」と呼び、薬草を自分で調べ人々に教え、一日に70回も毒に当たって倒れた(淮(え)南(なん)子(じ))」とある。原本は「新農経」であろうが原本も作者も不明であり、5世紀中頃の陶(とう)弘景(こうけい)が編集した「本草経集注」から推測するしかない。
 神農本草経、別名「神農本草」、「本草経」・「本経」とも略称され、内容は大きく4巻に分かれる。
◇序録 薬物学の原理を述べる
◇上経 上薬=120種。これを君(くん)(君薬)とし、身体を補益し、生命を養うもので、主とし天に相当する。これには毒がなく、長期にわたってあるいは量を多く服用しても害がない。身体の異変を正し、体質を正常化する。不老長寿、軽身益気を欲する人が飲むべき薬なり。とあるが、実際には砒素・水銀・芒硝に鉄を含んだ鉱物などは、不老・神仙の効果、特に水銀が重要な錬丹術の本体で、砒素は少量では活力を増加する薬効があると言われた為、これらの錬丹薬を愛好した皇帝たちは死に至ったり、狂人になった。
◇中経 中薬=120種。これを臣(しん)(臣薬)とし、身体の疾病を治すもので、性を養うことを主とし、人に相当する。これは病を防ぎ体力を補う力があるので、毒の有無を知って配合するべし。
◇下経 下薬=125種。これを左史(さし)(左史薬)とし、毒劇物が含まれた治療薬であり、病を治すことを主とし、地に相当する。これは明らかに毒があり、回復したら飲用を止める。服用を続けると身体に逆の反応が起こるとされ、下薬の毒劇物は身体を傷つけるので、治療のみに用いるべきである。
 神農本草経は時代とともに編纂が進み、唐時代には「新修本草」、宋時代には「証類本草」、明時代には「本草綱目」等の書籍になった。
 現代風に置き換えると、臨床的に医師が用いる薬が「下薬」であって、非常に危険度の高い薬。薬局の指示で使用できるのが「中薬」、素人が使っても副作用のない程度の薬が「上薬」である。中国では医食同源と言って、生薬の類の薬膳を食するが、この生薬は上薬に相当する部分の薬物である。例外を除けば下薬相当のものを薬膳に使うことはない。ちなみに食品は上薬の上に位置する。つまり食品・上薬・中薬・下薬のランク付けがなされるが、境界ははっきりしていない。
 健康体が要求するのは食品だが、上薬ぐらいは食膳に供され、多少健康を損ねると中薬ぐらいまでが含まれてくる。さらに健康を損ねると下薬の部類まで用いる考え方が医食同源である。
 
●新薬開発
 薬の毒性・薬害の発生など企業にとって、新薬の開発は容易でない。
@スクリーニング 無数の新しい有機物が合成される。これらを簡単な動物実 験により、薬として有効と思われる物を篩(ふるい)にかける。
A前臨床試験 本格的な動物試験を行い、予測される毒性を検討する。
一般毒性試験(薬の致死量の測定。薬が有効であっても致死量と有効量の差がないと薬にはならない。)
慢性毒性試験
特殊毒性試験(催奇形性試験・発ガン性試験・薬物依存性試験)
B臨床試験 動物に効いた薬がヒトに有効かを調べる為、厚生省に治験届けを提出し、薬の予備軍として医療機関の場へ進む。
第一相(フェーズT)試験=少数の健康人の希望者で安全性を試験する。
第二相(フェーズU)試験=少数の患者の同意の上でどのように効くか、与える量や使い方等を試験する。
第三相(フェーズV)試験=多数の患者の同意の上で、新薬としての価値があるかを計画的に試験する。一般に新薬と対照薬の比較試験を二重盲検法によって試験する。対照薬には無効な偽薬、または既知の標準治療薬が使用される。
 以上の臨床結果が良ければ、厚生省に医薬品として承認申請される。要する期間は10年前後である。医療の現場に出るには厚生省の諮問機関である「中央薬事審議会」の了承を受けなければならない。この審査は2〜3年要する。
 
●森林療法
 樹木が発する香りは、テルペン系物質である。テルペンは約2000種ほど知られているが、特定樹木は一種類のテルペンではなく、何種類かを合わせ持っていて、樹によってその組み合わせが違うため、香りも違う。
 森林が発散するテルペンが、健康、特に神経系、循環器系、呼吸器系などによい影響を与える。ヨーロッパで、森林を治療保健施設に利用する森林療法が盛んになっている。
 
【す】 
 
●酢(す)
 エタノールから酢酸菌が酢を作り出す。昔は「良い酢造りは良い酒造りから、良い酒造りは良い米作りから」と言われ、日本酒と酢とは兄弟分であった。
 酢は体内で炭水化物・タンパク質・脂肪などをエネルギーに変えるTCAサイクル(クエン酸回路)の活動を促進させる。
 疲労回復・防腐殺菌作用・減塩効果・カルシウム吸収促進作用・血中コレステロール低下作用(食酢を毎日15cc以上摂取)・血圧調整作用などの働きを持つ。
 
●芋茎(ずいき・須伊木・イモガラ)
 サトイモ葉柄の皮を剥ぎ乾燥させて作る。サトイモ地上部に含まれる蓚酸カルシウム結晶は、食べた時に舌・食道粘膜を刺激し、皮膚に触れると痒みとして感じる。蓚酸カルシウムは二次代謝産物であり、強日射・乾燥条件で栽培すると含量が増加する。葉柄を食することが出来る葉柄の赤い品種(八頭・唐芋など)は蓚酸カルシウム含量が少なく、土壌が乾燥しないように水田で栽培することにより含量を少なくさせる。
 葉柄の赤い品種は、植物繊維(芋茎中に約26%)が多く、アントシアニンも多く含まれ、機能性食品として効果が多い。
 葉柄の青い品種は、表皮を取り去ったり、乾燥後湯がいたりすることで蓚酸カルシウム量は著しく減少する。長い栽培期間中加工に適した品種を選抜しながら今日に至っている。
 市場性の高い食品用干し芋茎は、葉柄の赤色が強くて緑色が残っていないこと、糖質含量が高く味が良好なこと、蓚酸カルシウム含量が少ないことである。
 調理方法は、まず水に戻し充分にもみ洗いをした後、水分をしぼり取る。
@千切りしたニンジン・ほうれん草等とともに醤油・味醂で味付けし、水分を抜いて裏ごしにした豆腐であえた「白和え」に、A油揚げなどとともに水煮にして、ネギなどを浮かべた味噌汁、B長いまま醤油・味醂で味付けしたものを芯にした海苔巻き、等であるがシャキシャキした食感は特有である。
 
●芋茎A
 青芋茎:葉柄を食べる専用品種で、茎の切り口に蓮のように穴が開いているので「蓮芋(白芋)」と呼ばれる。肥後芋茎はこの蓮芋の葉柄表皮を剥ぎ乾燥する。乾燥途中で漂白加工を施す。サポニンのエグミ、蓚酸カルシウムの針状結晶を持つ。 
 赤芋茎:海老芋や八頭の葉柄。
 白芋茎:日光に当てずに柔らかく栽培したも。生芋茎は皮を剥き調理する。
 芋がら:芋茎の皮をむいて干したもの、乾シイタケと一緒に煮物に使う。
 
●膵臓
 外分泌と内分泌の働きがあり、外分泌腺は唾液腺や耳下腺に似て腹部の唾液腺と呼ばれ、膵液(消化液)を膵管・胆管経由で十二指腸に排泄する。内分泌(ホルモン)組織は膵臓組織の中に島のように点在する細胞群で、発見者の名前からランゲルハンス島といわれている。
 
◇外分泌 アミラーゼ    糖質を分解
マルターゼ      〃
トリプシン    タンパク質を分解
キモトリプシン     〃
カルボキシペプチターゼ 〃
エラスターゼ  エラスチンを分解
リパーゼ    脂質を分解
ヌクレアーゼ  核酸を分解
◇内分泌  インスリン    血糖値を下げる
グルカゴン    血糖値を上げる
ソマトスタチン 成長ホルモン放出抑制
 
●膵臓ガン
 膵臓ガンの90%が膵管の上皮組織に発生する。ランゲルハンス島にできるのは膵ランゲルハンス島腫瘍と呼ばれ、血液中のホルモンの異常値から発見されることが多い。「上腹部の疼痛と黄疸」は、かなり進行した膵臓ガンの自覚症状で、早期のうちはほとんど自覚症状はない。CA19-9モノクローナル抗体は膵臓ガン患者の約70%が陽性になる敏感な腫瘍マーカーで、このマーカーで疑わしい場合、内視鏡を口から十二指腸まで入れて、先端をファーター乳頭部(胆管・膵管の出口)に挿入、造影剤を注入、X線撮影をして、胆管や膵管の狭窄や閉塞の有無を知る診断方法が一般的である。
 膵臓はかなり余裕を持った内臓器で、70%ぐらい削除しても外分泌・内分泌は影響がないが、痛みには敏感であり、膵炎・膵臓ガンなどの膵臓の異常は、みぞおちからへそにかけた上腹部の痛みとなって現れる。さらに進行すると、背中や腰の痛みが現れる。これは膵臓のしこりがそれらの神経を圧迫するからであり、腰痛やぎっくり腰と勘違いして症状が進行することが多い。
 膵頭部にガンが発生すると、胆管を圧迫して胆汁が肝臓にうっ滞、膵管が閉塞してアミラーゼ・エラスターゼなどが十二指腸へ排泄されず、血液中に増えるためこれらが血中に増え血清や尿中の酵素の測定で早期発見できる。胆汁は皮膚・白目が黄色になり、十二指腸に胆汁の排泄が少なくなるので便が白くなるが、初期症状では出現は見られない。
 T期の5年生存率は約50%、U〜W期は11〜19%であるが、集学的治療を行うとV期まで進行した膵臓ガンでも29%の治癒率が見られる。
 膵臓ガンは最も治療しにくいガンで、痛みなどで症状がでたときは転移が起きており、この場合抗ガン剤(5FU、ジェムシタビン+イリノテカん)で延命処置を図る。
 
●膵臓ガンのTNM分類
T期 腫瘍は膵内に限局、あるいは十二指腸・胆管・膵周囲の組織に浸潤
U期 胃・脾臓・結腸・大血管に浸潤
V期 局所リンパ節に転移
W期 遠隔転移がみられる
 
●スカベンジャー
 活性酸素を抑制する物質「抗酸化物質=スカベンジャー」である。
 人間の身体は、細胞の脂溶性部分と、細胞間の水溶性部分がある。活性酸素は両方に傷害を与えるが、ほとんどのスカベンジャーは片方の防御であるが、ポリフェノールは多くの部分で細胞間で働くが、一部は細胞内でも働いている。さらに細胞膜上でも働いており、ここは活性酸素によって一番傷つけられる場所である。ポリフェノールは排泄されるので、摂取してから2〜3時間しか効果がない。
◇脂溶性スカベンジャー(細胞内抗酸化物質)
 β−カロチン(緑黄色野菜)
 ビタミンE(アーモンド・かぼちゃ等)
 ゴマリグナン(ゴマ)
 リコピン(トマト)
◇水溶性スカベンジャー(細胞間抗酸化物質)
 ビタミンC(果物など)
◇中間(主に細胞間・細胞膜、一部は細胞内抗酸化物質)
 ポリフェノール(赤ワイン、茶、蕎麦、チョコレートなど)
 活性酸素に最も傷つけられるのは細胞膜であり、ポリフェノールは他のスカベンジャーにない性質があるので、より多くの活性酸素を除去出来る。
 
●スカルカップ(Scutellaria lateriflora)
  別名:狂犬草
 シソ科タツナミソウ属スカルカップ(SKULLCAP・スカルキャップ)、多年草・草丈40cm、オウゴニン・バイカリン・バイカレインを含む。19世紀の米国で、鎮静効果から不眠症・神経症の治療に使われていた。狂犬病の治療にも使われたため狂犬草とも呼ぶ。欧米では喫煙ハーブ・マリファナ代用品として喫煙で使用されている。
◇バージニア・スカルカップ(Virginia Skullcap) 
 鎮静・鎮攣作用があることから、てんかんや狂犬病の民間薬に利用。精神を安定させるハーブティ、また禁煙ハーブとしても愛用されている。
◇バイカル・スカルカップ(Baikal Skullcap)
 和名コガネバナ。バージニア・スカルカップに比べて葉がヤナギに似て細長くコガネヤナギと呼ばれている。根を乾燥したものが生薬の黄岑(おうごん)で、血圧降下作用を持つ。
◇ハンシレン(半枝蓮・Scutellaria barbata)
 中国各地や台湾などに分布するスカルカップ。解毒作用がありガン細胞を抑える効果があるとされている。
◇タツナミソウ(立浪草・Scutellaria indica)
 
●スギナ(民間薬)
 トクサ科(シダ植物)ツクシンボウを乾燥した物。珪酸含有量は3〜16%あり、この珪酸が薬効として働くと言われる。肝臓・腎臓病に特効があり、高い抗ガン作用を示す。血液浄化作用があり、慢性病一般に用いる。毎日飲むと肝臓・腎臓機能を正常化・糖尿病に効果あり。
 @利尿、解熱、鎮咳薬。A淋病に全草を煎服。B腎臓病の浮腫に煎服。C油で炒め煮し、老人小児の栄養食。D乾燥食料として用いる。

 ツクシンボウの採取は農薬の散布した場所ではしないこと。採取後、水洗いをして、 1週間程度の陰干し、1cmほどに断裁、保管する。
   乾燥スギナ………5〜10g
   水 ……………………600cc            
 2〜3分の沸騰後5分蒸らし、冷まして1日3回に分けて服用する。
 ◇陰干し乾燥させた物を粉末(散剤)として服用すると、ガンに効果がある。
 
 
●スコポラミン(l-scopolamine)

 l−ヒヨスチアミンと同様に副交感神経遮断薬(抗コリン作用薬)だが、中枢抑制作用が強く、眠気を起こす。鎮痛・鎮痙・催眠薬として用いる。トロパンアルカロイド。
 粘膜と皮膚を通して急速に吸収される。症状は始めに興奮期があり、散瞳・幻聴・頭痛・目眩が起こる。多量に服用すると意識喪失,呼吸停止に陥る。致死量は8〜10 mg 。
 
●スズメバチ
 古文書(想山著聞奇集)はヘボ飯(ハチの子を醤油で味を付け飯に混ぜる)を、風味は油多にして、香ばしく甚だうまきものといへりと述べている。他に、生食・煮付け・煎り付け・油炒め・混ぜご飯などを食する。
 スズメバチは山間で食され、おおむね甘辛い味付け。オオスズメバチのサナギや幼虫を炒め野菜と共に煮ると、フグの白子より美味いと言う。
 キイロスズメバチのサナギを塩茹ですると、とりわけ歯触りが良い。
 オオスズメバチのサナギになる直前の新女王バチの子を生きたまま塩をつけて食べるとプチプチした歯触りで甘みがある。押し寿司にするとトロリとした脂こっさで、幼虫やサナギの串焼きはエビのような弾力がある。
 料理の種類が多いのはクロスズメバチ。岐阜・愛知・長野などでは郷土料理である。五目ご飯に混ぜても、甘露煮にしても美味しい。
          
●ステビア(Stevia rebaudiana)
 南米パラグアイ原産キク科多年草。同名の切り花用園芸種と区別するためアマハステビアともいう。1970年頃ブラジルから日本に導入され、茎葉に含まれるジテルペン配糖体(ショ糖の300倍)が甘味を有する。ステビア葉にレバウディオサイトA(ショ糖の450倍)を含み、共にステビオールの配糖体である。葉中の甘味成分は開花前に最高含有率になる。
 原住民は古くから甘味料以外に妊娠障害(不妊・避妊作用)があると言っているが、学術的に不明。
 




●ステロイド(steroid)
 イソプレン(isoprene)を構成単位としてペルヒドロ−1,2−シクロペンタノフェナントレン骨格を有するテルペンの総称。
 イソプレン6単位・炭素数30の物質をトリテルペンと呼び、ステロイドはイソプレイン6単位に由来するが炭素数は30に満たない。動物性ステロイドはステロイドホルモン(性ホルモン・副腎皮質ホルモン)、胆汁酸、ビタミンD、コレステロール、昆虫の変態ホルモン・防御物質など。植物に広く存在するのはステロール(sterol)などで、ステロイドサポニン・強心配糖体などのアグリコン部を構成、高等植物の成長促進物質である。強心ステロイド・ステロイドサポニンは医薬品・医薬品原料として重要。
 








●ステロイドA
 ステロイド核(シクロペンタノパーヒドロフェナントレン核 C1728)を持つ化合物の総称。ステリン・胆汁酸・副腎皮質ホルモン・性ホルモン・サポニン
など、極めて重要な生理作用・薬理作用を持つ。核に側鎖が付いて炭素数が18以上であり、体躯内に存在するステロイドは炭素数により生理作用が異なる。
 C18ステロイド:発情ホルモン(エストロン・エストラジオール)
 C19ステロイド:男性ホルモン(テストステロン)
 C21ステロイド:黄体・副腎皮質ホルモン(プロゲステロン・コーチゾン)
 C24ステロイド:胆汁酸系
 
●ステロイドホルモン
 ステロイドホルモンは細胞表面に受容体が無く、細胞膜を通過して細胞内の受容体と結合する。結合した複合体は細胞の核内に移動し、DNAに働きかけ分化の引き金の働きをする。
 
●ステロール
 ステロイド骨格を持つアルコールの総称。ステリンとも呼び、炭素数27〜29が多く、C3位置に水酸基を持つ。脊椎動物のコレステロール・菌類のエルゴステロール等が知られる。
 
ストリキニン(strychnine・C21222O・ストリキニーネ)

 マチン科マチン馬銭子(マチンシ)に含まれるインドール系アルカロイド。 分子量334.32.。薬理作用は、中枢神経興奮 (強壮、興奮)・痙攣作用。中毒症状:大脳・延髄の興奮と筋全体の攣縮で呼吸麻痺、死に至る。致死量30mg。
 
●ストレス
 カナダのセリエによって提唱した「ストレス学説」(1936〜1943)。
 ストレスとは生体が受ける刺激である。@物理的刺激:寒冷・高温・放射線・外傷・出血など A化学的刺激:酸素欠乏・飢餓・中毒・アレルギー反応・細菌感染など B精神的動揺:緊張・心痛・悲嘆など。専門的にこれらは全て「ストレッサー」と呼ばれる。
 
●ストレプトマイシン(C12297)
 抗生物質。土壌中の放線菌(Streptomyces griseus)から発見した配糖体。グラム陽性菌、グラム陰性菌、抗酸菌などに広範囲な抗菌スペクトルを持つ。結核菌感染症をはじめ、髄膜炎、尿路感染などのグラム陰性桿菌感染症に硫酸塩として適用。また水素添加したジヒドロストレプトマイシンも同様に頻用され、両者の硫酸塩の等力価混合物が複合ストレプトマイシンとして市販されている。副作用は、めまい、耳鳴り、難聴など。
 
●ストロファンチン(strophanthin)

 キョウチクトウ(夾竹桃・インド原産の常緑低木。高 さ3〜4m、花期は7〜10月で、夏の花木として植え られる)科植物の種子・木部は数種の配糖体を含み、G- ストロファンチン(C294412・9H2O)は成分中の主 な強心配糖体・強心ステロイド、速効性強心薬である。経口では無効で、急性心臓衰弱・心臓弁膜症・心筋炎などに静脈注射する。薬用量と中毒量の差が小さいので短時間内の反復注射は危険。逆に比較的蓄積作用が弱く即効性である為、現在では浮腫をとる作用を得るため医師が用いる薬品である。
 夾竹桃には「ネリオドレイン、オレアンドリン、アディネリン」などの強心配糖体があり、葉・樹皮・根・種子に含まれている。フランスで枝をバーベキューの串に使って、11人中7人が死亡、4人が重体になったという有名な話がある。焼いた煙も有毒。ネリオドレインは不整脈や心臓麻痺での死を招く。半数致死量は0.3mg/kg。その他、嘔吐・腹痛・下痢・血便などの症状がある。
 
●スパイス療法(カレースパイス)
 スパイスの薬効は、@ビタミンなどの非栄養素の存在
          A代謝機能の活性化
          B同時摂取された食物の吸収促進作用・機能活性化作用
 
ブラックペッパー:食欲不振・便秘・下痢
  ピペリン(辛み成分・ピリジン系アルカロイド)が胃液の分泌を促進、ジアスターゼも活性化させる。胃・腸の蠕動運動を促進させる。
クローブ:強壮剤・媚薬・消化不良・便秘
  興奮作用があり、強壮剤や媚薬に用いられている。インポにも効果あり。腸の蠕動運動促進作用もある。
コリアンダー:便秘・下痢・風邪・精力増強・不眠症
  腸を浄化する。コリアンダーの「葉」は消化を助け、精力増強効果や不眠症に効果がある。「実」は咳止め・解熱・鼻づまりに薬効がある。
生姜:消化促進・風邪
  芳香成分:シネオール・ジンギベレン・ジンギベロール
  自家ジアスターゼを持ち、他の酵素があるとより活性化して消化を助ける。
  タンパク質分解酵素も持ち、肉類の消化を助ける。
  黄色色素クルクミンなどを含み、鎮静、鎮痛作用、鎮吐作用、消化促進、血圧下降作用などのほか、プロスタグランジン生合成阻害作用、血小板凝  集抑制作用などが報告されている。
ナツメグ:下痢・腹痛・消化不良
  下痢・腹痛・消化不良に薬効あり。
  小さじ1杯以上摂取すると幻覚が起きる事もある。ペヨテ(サボテン)と同じ成分が含まれているからである。継続摂取すると肝臓障害を起こす。
唐辛子:風邪・二日酔い・ストレス解消・ダイエット
  ビタミンCやカロチンを大量に含くみ、身体の抵抗力を増強させる。
  血液の循環を良くし発汗作用を促進、解熱効果がある。
  二日酔いの頭痛を抑制・胸やけ・ムカツキに効果がある。
  血管拡張作用と副腎からアドレナリン系のホルモンを分泌するため、一種の興奮剤としてストレス解消作用を示す。このホルモンは脂肪の分解を促進する。大量摂取は血管収縮作用に変わる。
シナモン:風邪・リラックス効果
  発汗・解熱作用がある。筋肉のこりをほぐす。
カルダモン:ダイエット・二日酔い・媚薬
  身体の脂肪をとる。
  香りはアロマセラピー効果で頭痛・吐き気の抑制に効果がある。
  アラブ諸国や北欧では、男女にかかわらず性欲促進剤として使用。
クミン:体力回復剤・二日酔い
  興奮作用があり、不快感や脱力感の解消に効果がある。
タイム:二日酔い・風邪・生理不順
  二日酔い・悪酔いに効果がある。ヨーロッパでは愛酒家の友。
  咳止めの特効薬。芳香成分チモール・カルバクロールが気管の繊毛運動を活性化させ、痰が絡む時に効果がある。
  月経促進に効果があるが、場合によっては流産を引き起こす。
セージ:風邪
  解熱・咳止めに薬効あり。のど飴に多く用いられている。
フェンネル:痰切り・生理不順・視力強化
  主成分アネトール・ピオン・リモーネンが痰を切るに効果がある。
  ヨーロッパでは月経促進・母乳の出を良くする効果がポピュラーである。
ターメリック:目の疲れ・外傷
  視力の衰えを防ぐと定評のあるスパイス。
  インドでは、切り傷に直接ターメリックの粉を擦り込んで止血する。
 
●スーパー・オキシド・ジスムターゼ(SOD)
 身体に活性酸素を抑制する機能があり、抗酸化力のある酵素「SOD」を作り、余分な活性酸素を除去する。SOD産生は20歳を過ぎてから年々減少し、40歳以降は働きが少なくなる。 
 
●スパルテイン
 エニシダなど(マメ科植物)に含まれるキノリジジン系アルカロイド。子宮収縮作用・陣痛促進剤。
 
●スピリタス ウォッカ 500?(1000〜1300円)
 蒸留を70数回繰り返すポーランド産ウォッカ。高いアルコール度が印象的な味わいを残す酒、ウォッカと言うよりは精製アルコール。なめるだけで、舌にシビレを感じるほど強烈。 
・緑ラベル(95度) 原材料:ライ麦
・赤ラベル(96度) 原材料:ライ麦
・青ラベル(70度) 原材料:ライ麦とジャガイモ
 
●スフィンゴシン
 パルミチン酸とセリン(アミノ酸)が縮合した物質。植物に存在せず、動物の脳や神経に多く存在する。
 
●スフィンゴ糖脂質
 【セラミドを見よ】
 
【せ】 
 
●ゼアラレノン
 女性ホルモン作用を持つカビ毒。ゼアラレノンカビに汚染された飼料を食べたブタが発情することから発見。ヒトに対する影響は不明。
 
●精液
 精子は精巣(睾丸)の精細管で産生。精子は精祖細胞と呼ばれ、72日間掛かり、第一精母細胞−第二精母細胞−精子細胞を経て精子となる。作られた精子は精巣−精巣上体−精管に押し出され、貯溜精子が分泌液と一緒になり射精。一週間以上の貯溜精子は精巣上体や精管で分解され、精子を作る原料となる。
 膣の中に射精された精子は子宮頸管粘液の中を通り抜け上昇するうちに受精能力を獲得。卵に着くと卵の透明帯を突き破るために頭部から酵素を出し(先体反応)、精子は受精する。
◇青年男子(16〜25歳)の精液1cc中の平均精子量
   昭和40年……………1億1800万個
   平成12年 ………………9200万個
 
●精液検査 男性不妊・他(5日間の禁欲生活後)
 量    0.6〜6cc
 数    6000万/cc以上
      3000万/cc以下………乏精子症
      0 …………………………無精子症
 運動率  60%以上
 奇形率  20%以下
 勃起、性交、射精〜正常:精管結紮でも損なわれない
 
●精液の正常値
精液量   2cc以上
総精子数  40×106以上
PH    7.2〜7.8
濃度    20×106以上
運動率   80%以上
      前進する精子50%以上、又は高速で直進する精子25%以上
奇形率   15%以下
 
不妊症の分類(男性)
無精子症    精液中に全く精子がいない
精子減少症  1000万〜2000万/cc以下
精液減少症   1回の射精で出る精液が0.5cc以下の場合
精子無力症   顕微鏡下で見て動いている精子(運動率)が60%以下
奇形精子症  奇形のある精子が10%以上
膿精子症   前立腺・性嚢が炎症すると精液の中に免疫細胞(貪食)が増え、過免疫作用により精子の膜機能が妨げられ、受精が不能になる。
 
不妊症の割合(男性)
造精機能障害       96%
  特発性造精機能障害  59.9%
  精索静脈瘤      30.5%
   (陰嚢の中を通っている静脈にこぶが出来て、血液の流れが滞るため睾丸の温度が上がり精子の数が減ったりね運動率が落ちたりするもの。放置すると精子の状態がどんどん悪くなり妊娠の可能性も少なくなる。)
  染色体異常       2.2%
  その他         0.1%未満
閉塞性無精子症      46%
  (精子輸送路通過障害で造精機能は正常)
逆行性射精         0.9%
前立腺炎          0.7%
その他            1.2%
 
●精液分析
 男性の不妊症を評価する主な検査。検査は2〜3日の禁欲後に行う。精子の数が変化するため、1週間以内の間隔で少なくとも2〜3回の射精によって排出された精液を調べる。検査室で行うのが望ましく、精液はマスターベーションによって清潔なガラス容器に採集する。これに困難を感じる男性は、潤滑剤を塗布していない、精子に対する化学毒性のないコンドームを使用。
 排出した精液は室温で20〜30分間放置し溶解した後、次の項目で評価する。
射精量(正常は2〜6cc)
粘度 (正常は1時間以内に溶解する)
肉眼および顕微鏡による観察
   (正常は不透明なクリーム色で、1〜3WBC/強拡大視野[hpf])
pH (正常は7〜8)
精子数(正常は2000万/cc以上)
1時間後および3時間後における精子の運動性(正常が50%以上)
精子の形態(正常が60%以上)
さらに精子の運動性のコンピュータによる測定(例、精子の直線速度など)が利用されている。しかし、速度と受精能の関連は明らかではない。
 精子の機能および質に関する試験は、主要な不妊症センターで行われ、料金は健康保険を使い初診料込みで1600円ぐらい、提出後約1時間で結果が出る。
 
●制ガン多糖
 キノコ(シイタケ・スエヒロタケ・カワラタケ)の子実体や菌子体に含まれる
レンチナン(lentinan)とシゾフィラン(schizophyllan)のβ−グルカンである。
 
●精子形成(spermiogenesis)
◇原始生殖細胞の生殖巣への移住
 原始生殖細胞は、発生3週末に一般体細胞から分化して卵黄嚢に出現。思春 期が訪れるまで原始生殖細胞のまま存在する。
◇精子発生(spermatogenesis)
 精祖細胞から精子になるまでの全過程。
◇精祖細胞(spermatogonia)
 胎生初期に分化した原始生殖細胞が生後しばらくして分裂をはじめ、精粗細 胞となる。
◇精母細胞(spermatocyte)
 精祖細胞から精母細胞への分化成熟は思春期以降に始まり、それ以降は間断 なく続けられる。
◇精娘細胞(spermatid)
 精母細胞は減数分裂を行ない、半数体である精娘細胞となる。
◇精子細胞
 精娘細胞は第2の成熟分裂を行ない、精子細胞となる。
◇精子
 精子形成・精子変態(spermiogenesis)
 精子完成とは、精子細胞が精子となる過程をいう。この過程では細胞分裂は 生じない。
◇先体(acrosome)の形成
 核の濃縮
 頸部、尾部の形成
 細胞質の脱落
 
●精子機能検査
◇精子生存試験
 妊娠が成立するためには一定時間以上精子が生きている必要がある。精子を24時間培養しエネルギー量をチェック。80%以上の生存率があればエネルギーは十分。
◇精子帯膨化試験
 精子の頭部の膜にヒアルローニターゼという酵素(卵の透明体をとかす)があり、卵に突入する時、酵素の存在で受精が起こる。
 精子を低浸圧の液に浸け膜の正常性を見る検査。
◇精子遊走試験
 受精時、精子は卵の透明体に頭を突っ込み激しくしっぽを振りながら突入する。妊娠させる女性の血清中で精子の泳ぐ距離でしっぽの運動性をチェック。
 
●精神丸
   すり黒胡麻……………100g
   蜂蜜…………………… 33g 
   酢……………………… 少量   
 黒ゴマと蜂蜜を混ぜ、団子にした薬用食物、完全に吸収され、忍者は団子1個で7日ぐらい持ちこたえたという。
 成分はビタミンからアミノ酸まで60種以上の成分が含まれ、食事毎に小匙1杯を摂取すると健康体を維持できる。
 
●成人T細胞白血病(Adult T-cell Leukemia, ATL)
 ウイルス保有者は約100万人といわれており、年間500人程発病する。感染者は九州・沖縄に多い。
 症状は、皮膚の病変、リンパ節・肝臓の腫れなどが多い。他の白血病と比べ貧血は少ない。発病後は免疫機能の低下、悪化すると呼吸器合併症、真菌症、高カルシウム血症などを併発し、死亡する。
 
●成人T細胞白血病ウイルス(ATLウイルス)
 レトロウイルス科のガンウイルスで、感染経路は乳児期に母親の母乳による母子感染が主なもので、他に性行為・輸血によっても感染する。感染後発病するのは0.1%で、殆どはキャリアになる。発病まで早いと20年、普通40〜50年を要する。
 ATLウイルスは、ヘルパーT細胞に感染後、細胞を壊さず「PX」と呼ぶ遺伝子をヘルパーT細胞に残し、別のヘルパーT細胞に移動する。この遺伝子が白血病を起こす。
 
●性腺刺激ホルモン(ゴナドトロピン)
 脳下垂体のペプチドホルモンによる刺激を受け産生される。黄体ホルモン(LH)・卵胞刺激ホルモン(FSH)などである。女性では卵巣に作用して、エストロゲン(女性ホルモン)の産生を刺激、エストロゲンは生殖器官の変化(子宮内の細胞表面・子宮内膜に作用し厚みを増す)とプロゲステロン(子宮内膜に作用、受精卵子の受け入れに備え、下垂体からのLHやFSHの分泌を抑制)を産生する。男性では睾丸に作用し、テストステロンのようなアンドロゲン(男性ホルモン)産生を促す。 
 
●精油(Essential Oil, Ethereal Oil)
 植物の花・葉・茎から採取される芳香をもった揮発性油。芳香油(aromatic oil)ともいう。薬草ハーブから精油を取り出したり、花から造られる花精油エッセンシャルオイル(essential flower oil)は高価である。
 精油は植物の香気の主体で、テルペン類・芳香族アルデヒド・ケトン・フェノールまたはアルコール類・各種エステル類の混合物である。
 
アジョワン インド・エジプト セリ科アジョワン果実
カルバクロール(10〜20%)・チモール(40〜50%)
アニス油  ヨーロッパ・ロシア・中近東 アニス果実(蒸2.3%)        アネトール(80〜90%)・メチルチャピコール・p-メトキシアセトフェノン
アンブレッド・シード油 東インド Abelmoschus moschatus Moench(蒸0.2〜0.6%)
ファルネソール(主)・アンブレットリド(特)・デシルアルコール
オレンジ油  スペイン・シチリア  ビターオレンジ果皮(圧0.15%)
  d-リモネン(92%)・酢酸リナリル・デカナール・ヘスペレチン
      カリフォルニア・ブラジル スイートオレンジ果皮(圧0.2〜2%)
  d-リモネン・デカナール・シトラール・リナロール・オクタノール・ノナノール
カラシ油  中国、イタリヤ  オウカラシ、クロカラシ(蒸0.5〜1.0%)
  アリルイソチオシアナート(主)・p-ヒドロキシベンジルイソチオシアナート・ジメチルスルフィド・アリルシアニド
クチナシ油  中国・インド・日本 クチナシの花(抽0.03〜0.06%)
酢酸ベンジル(主)・スチロリールアセテート(特)・リナロール・テルピネオール・アンスラニル酸メチル
クローブ油(丁子油) ザンジバル島 丁子花蕾(蒸16〜19%)幹(6%)葉(2〜3%)
  オイゲノール(85〜92)・オイゲノールアセタート(3)・バニリン・カリオフィレン・カリオフィレンオキシド
シトロネラ油 セイロン シトロネラソウ生草(蒸0.37〜0.4%)
  ゲラニオール(26〜39%)・d-シトロネラール(5〜16%)・ネロール・酢酸シトロネリル・酢酸ゲラニル
ジャスミン油 南フランス・エジプト ジャスミン花(冷・抽0.2〜0.3%)
  酢酸ベンジル(65%)・d-リナロール・酢酸リナリル・ベンジンアルコール・インドール・cis-ジャスモン
ショウノウ油 台湾・南中国 クスノキ根・株・枝・葉(蒸2〜2.5%) 
  ショウノウ(50%)・モノテルペン炭化水素(30%)・サフロール・シネオール・テルペンアルコール
スペアミント油 北アメリカ・中国 スペアミント葉(蒸0.15〜0.2%)
  l-カルボン(60〜65%)・l-リナロール・ジヒドロカルベオール・シネオール
ゼラニウム油 アルジェリア ニオイテンジュクアオイ・キクバテンジュクアオイ生葉(蒸0.2%)
  ゲラニオール(40〜60%)・シトロネロール(20〜40%)と蟻酸エステル(10%)
ティーツリー油 オーストラリア ティーツリー葉(蒸0.6〜1.0%) 
  α-ピネン・α-テルピネン・γ-テルピネン(24.6%)・テルピネン-4-オル(42.1%)・1,8-シネオール
テレピン油 北アメリカ 生松ヤニ
  α-ピネン(64%)・β-ピネン(33%)
ニンニク油 世界中 鱗茎(蒸0.1〜0.2%)
  ジアリルジサルファイド(60%)・ジアリルトリサルファイド(20%)・プロピルアリルジサルファイド(6%)・
  ジアリルモノサルファイド・多硫化アリル化合物・セスキテルペン 
ビャクダン油(サンダルウッド油) 南インド ビャクダン根、心材(蒸3〜4.5%)
  α-,β-サンタロール(90%)・サンテン・l-サンテノン・サンテノール
ペパーミント油 北アメリカ セイヨウハッカ葉、花、茎(蒸0.8〜2%)
  メントール(49〜68%)・メントン(9〜12%)・エステルメントール(3〜21%)
        ブラジル・北海道 ニホンハッカ葉、花、茎(蒸1.5%)
  メントール(69〜81%)・メントン(21〜30%)・エステルメントール(4〜15%)
ベルガモット油 シチリア島・ギニア ベルガモット果皮(圧0.5%)
  酢酸l-リナリル(35〜40%)・l-リナロール・d-リモネン・シトラール・アントラニル酸メチル・ベルガプテン
ボアドローズ油 南米ギアナ・アマゾン流域 リナロエ材(蒸0.7〜1.2%)
  (ローズウッド油) リナロール(85〜95%)・テルピネオール・ネロール・ゲラニオール・ジペンテン
ユーカリ油 ブラジル・オーストラリア ユーカリ属の葉(蒸0.75〜2.8%)
  1,8-シネオール(70〜90%)・ピペリトン・フェランドレン・p-シメン・α-テルピネオール
ラベンダー油 フランス・イタリア ラベンダー花(蒸・抽0.8%)
  酢酸l-リナリル(30〜40%)・l-リナロール・ゲラニオール・クマリン・ネロール・β-オシメン
レモングラス油 セイロン・東インド レモングラス(蒸0.2〜0.37%)
  シトラール(75〜85%)・ネロール・ゲラニオール・メチルヘプテノン・ファルネソール
レモン油 シチリア島・カリフォルニア レモン果皮(圧0.8%)
  d-リモネン(90%)・シトラール・オクタナール・α-ピネン・β-ピネン・ノナナール
ローズ油 南フランス ロザ・ダマスケナなどの花(蒸・抽・冷0.025%)
  l-シトロネロール(31〜59%)・ゲラニオール・ネロール・リナロール  
 
注)原料%:収油率 採油法:蒸=蒸留、圧=圧搾、抽=抽出、冷=冷浸  
(主):主成分 (特):特有成分
 
●精油摂取
◇経皮投与(約3%が血流に吸収される)
 マッサージオイル(5〜25cc・希釈率2〜3%)
  α−ピネン:約20分、オイゲノール:20〜40分で呼気中に排出する。
  ニキビ・魚の目・血腫の治療
 他に浴槽に分散・直腸内投与・膣内投与がある。
◇経口投与
 ヨーロッパでは一般的、1日1回0.5〜2.5ccの経口投与。LD50を参照せよ。
◇ディフューザー(空気中に拡散させること)

 
経皮投与 経口投与 ディフューザー
不可 不可 不可
クローブ
シナモン
ゼラニウム
ティートリー
ペパーミント
マウンテン・セーボリー
ユーカリ・ラジアタ
ラベンダー
ラベンサラ
レモン









 









 









 


















 









 









 









 


















 









 









 











 
 
●セサミン
 ゴマに0.5%含まれている脂溶性抗酸化成分、ゴマリグナンの約半分を占め、吸収後に肝臓代謝の過程でセサミンが関与、アミノ酸・タンパク質・脂肪合成・分解・有毒物質の解毒を行う。
 ゴマのセサミンは1日の摂取目安量は10mgと言われている。 
 
●セラミド
 動物細胞で見られる糖脂質は「スフィンゴ糖脂質」である。スフィンゴ糖脂質は長鎖塩基であるスフィンゴシンと脂肪酸が酸アミド結合して出来るセラミドを持つ。植物細胞や細菌は脂質部分としてグリセロールを骨格に持つ「グリセロ糖脂質」である。哺乳動物の精子細胞と精子はグリセロ糖脂質を主要成分とする。これは精子の特異的な機能を考えると興味深い。
 表皮ではセラミドにグルコースの付いた「グリコシルセラミド」が主要成分である。脂肪酸の部分は通常の飽和脂肪酸ω−ヒドロキシ脂肪酸(末端にOH基が付いた脂肪酸)であり、このω位にエステル結合しているのがリノール酸であり、油脂・水になじみやすく肌の保水性に優れ乾燥を防ぐ構造であり、同時にこれらのセラミドは細胞の増殖・分化を誘導する活性がある。
 
●セルラーゼ(cellulase)
 多成分型のセルロースのβ-1,4-グルカン結合を加水分解してグルコースを生成する酵素。「ウスバタケ」「ヒイロタケ」などのキノコにセルラーゼが含まれており、家畜飼料に添加するとセルロースの消化・吸収効果が期待される。
 exo型(avicelase)はセルロース分子の末端からグルコースを切り取って還元糖を多量に生産する。
 endo型(CMCase)は、セルロース分子の内部でランダムに切断し、粘度を大きく低下させる。
 
●セルロース
 グルコースは6個の接合場所があり、1位置(α・βと二通りの接合場所がある)に他グルコースの4位置が繋がる糖のうち、デンプンはαで繋がったもの、セルロースはβで繋がっている。βだと一つの分子が他の分子のすぐ近くで束になりやすく、αは粉末になりやすい。セルロースを酵素で分解すればグルコースになるが、束で分解しにくく、分解酵素を持つ微生物は少ない。
 ゴキブリ・シロアリは、腸内に共生する原生動物「トリコニファ」の分泌酵素でセルロースを分解し栄養とする。ハキリアリが栽培している蕪状菌糸体「ハキリアリタケ」はセルロースをセルラーゼ・マルターゼ・サクラーゼ・α−アミラーゼなど糖類分解酵素を用い、グルコースまで分解する。
 樹木の約5割の成分がセルロースで、ヒトがセルロースを摂取すると、腸内で分解されず異物として腸管を刺激し、便意を引き起こす。便の核となって便量を増やし、便通を良くする作用がある。
 
●セレクチン
 L−セレクチン(LECAM-1):発現細胞=白血球一般
 E−セレクチン (ELAN-1):発現細胞=活性化内皮細胞
 P−セレクチン(GMP-140):発現細胞=活性化内皮細胞、活性化血小板
 
 糖タンパク質N末端のレクチンドメインに糖鎖結合部位があり、これを「セレクチン」と呼んでいる。selectiveな性質と機能を持つlectinの意である。
 L−セレクチンは白血球の細胞表面に存在する接着分子で、発見の経緯から「ホーミング・レセプター(homing receptor)」とも呼ばれ、 リンパ球・好中球・マクロファージを含めた白血球全般に発現し、ローリングと呼ばれる接着現象に利用されている。
 構造は@レクチンドメイン、AEGFドメイン、B補体結合ドメイン1or2である。またL−セレクチンを認識するモノクローナル抗体はリガンド結合(細胞結合)を阻害する。
 セレクチンのリガンドは糖鎖(下記参照)とこの糖鎖により修飾された糖タンパク質、リン酸化された単糖及び多糖類、スルファチド等の硫酸化多糖である。
 L−セレクチンを刺激すると激しくリンパ球の凝集が起こる。さらにT細胞に対し共刺激シグナルを提供したり、キラーT細胞活性を亢進させるなど、情報伝達能は持たないが何らかの分子と共同して情報を伝達していることが分かった。

 
 
 Le      Galβ1→4Fucα1→3GlcNAc
 シアリルLe Siaα2→3Galβ1→4Fucα1→3GlcNAc
 シアリルLe Siaα2→3Galβ1→3Fucα1→4GlcNAc

→R
 
 
 セレクチンのリガンド結合において、糖鎖を提供する糖タンパク質、糖脂質も重要な役割を果たしている。例えば、P−セレクチンへの結合にはシアリルLeだけでは不十分であり、シアリルLeを提供するタンパク質も関与する。提供分子の役割として@糖鎖を正しい立体配置で提示する A多価の糖鎖を提示する Bタンパク質=タンパク質相互作用に関与するなどである。P−セレクチンのリガンドは分子量120,000(ホモ二重体)の糖タンパク質に存在し、細胞当たりの結合部位数10,000〜20,000である。
 
●セレクチンA
 LAD−2(leukocyte adhesion deficiency:遺伝性疾患)では、糖鎖構造へのフコースが添付できず、シアリルLe、シアリルLe共に発現が見られず、細菌に対する感染性が高いのが特徴である。これはセレクチンのリガンドが欠損しているため、白血球ローリングが上手く行かず、白血球の血管外湿潤が上手く起こらないからである。
 ガンにおいてもセレクチンの関与があり、大腸ガンにおいてはリガンドであるシアリルLe、シアリルLeが高率に発現されている。結腸ガン細胞の活性化血管内皮細胞への接着がE−セレクチン依存性であることが示されている。
 
●セレブロシド
 脳組織から取り出され、命名された最初のスフィンゴ糖脂質である。セレブロシドの構造は@長鎖塩基(スフィンゴシン類縁体)がA高級脂肪酸(パルミチン酸など)によってN−アシル化され、疎水部分セラミドを作り、このセラミドの水酸基にB単糖(ガラクトース、グルコースなど)がβ−グリコシド結合したモノグリコシルセラミドがセレブロシドである。この3種類の組み合わせで非常に多種類の類縁体が存在する。この@のスフィンゴ糖脂質は生体において多様な生理活性を持っており、ガングリオシドと比べより簡単な構造のセレブロシド、セラミドにいろいろな活性を持つ物があるだろう。現在では、抗ストレス潰瘍に活性があることが分かっている。
 
●セロビアーゼ(cellobiase)
 セルラーゼとは別の酵素で、セルロースはセルラーゼの作用でセロビオースになり、次にセロビアーゼの作用でグルコースに分解する。
 
●蝉花(せんか)
 セミ(ニイニイゼミ)の若虫に虫草菌(セミタケ)が寄生し、子実体が発生したもの。中国では冬虫夏草の一部に蝉花があると考えられている。ニイニイゼミ以外にヒグラシ・ツクツクボウシにも寄生する。
 煎剤を服用することで、鎮痛・鎮痙・解熱・小児の驚癇・夜泣き・眼病・麻疹などに効果がある。
 
●蟾酥(せんそ)
 蟾(せん)はヒキガエル、酥は乳の固まった物。ヒキガエル耳下腺の分泌乳液(強心作用)をいう。生薬ではシナヒキガエルの皮腺の分泌物。古来から朝鮮人参、牛黄、麝香などと霊薬中の王者として、信仰に近い効能を言われた。
 ヒキガエルは、両生類で背中に大きな「いぼ」のあるのが特徴。体長10〜12cmぐらいで雌が雄より大きい。目の後ろに毒腺があり、ここから乳状の毒液を分泌する。蟾酥はシナヒキガエルを棒で突っつき目の上の小さな瘤のような耳下腺から分泌させ、小麦粉に混ぜて小さな円盤状に練り固め、紐で吊して乾燥させる。間違えて目に入ると失明する。
 本草綱目(虫部第四二巻、虫之四)に、「手で頭の後をしごくと白汁が出てくる。あるいは、ニラ、胡椒の如きものを、口中に差し入れても、白い汁が出る。それを桑の葉の上に取り集め、次いで竹べらで、こそぎ落として、乾いたものが蟾酥である」とある。1週間放置すると乾燥し赤褐色の樹脂状になる。同様な分泌液はアマガエルからも分泌される。

 1913年、ヒキガエルから「ブホタリン」の結晶を分離。1916年、蟾酥から「ブファギン」結晶を分離。1928年ヒキガエルから「ガマブホタリン」結晶、蟾酥から「ブファリン(左図)」を分離。東京医科歯科大薬理学教室・岡田教授は蟾酥から得たブホゲニン類の「レジブホゲニン」とG−ストロファンシンの強心作用を比較検討し、レジブホゲニンの方は毒性がないことが分かった。
 蟾酥の水に溶けない成分物質に、コカインの40倍、プロカインの400倍という知覚麻痺作用がある。この物質を純粋化すると強心ステロイド「ブファリン」となり、強心作用・局所麻酔作用を示す。コカインの90倍、プロカインの900倍の知覚麻痺作用があり、持続時間は非常に長く0.01%液で3〜7時間麻痺が続く(コカインは0.1%液で15分)。
 蟾酥の水に溶ける物質は1934年ヒキガエルから「ブホテニン」を分離。化学的には「5−ヒドロキシ−NN−ジメチルトリプトアミン」である。これは幻覚発動薬であり、LSD−25と比較すると半量で同じ行動変化が起きる(全身性の疼痛、顔色が鉛紫色への変化、胸の圧迫感、眼球振盪,瞳孔散大、知覚力の一次的変化、赤・青のスポットライトが目の前に現れたり消えたりする幻覚が発生する)。ブホトキシンはジギタリスと似た強心配糖体を含んだ利尿強心剤でもある。
 クリス・ショー(アルスター大学教授)によると、キノボリガエル(オーストラリア)の分泌液は抗生物質耐性の細菌を破壊。コノハガエル(メキシコ)の分泌液は血圧をmax50%低下作用を持つ。イケガエル(北米)の分泌液はガン細胞抑制、減少作用を持つ、と発表した。
◇効能 強心作用(生薬中最も強い作用)、知覚麻痺作用(歯痛、創傷の痛み止め)。手術後(麻酔薬、筋肉弛緩剤のため、人工呼吸を続ける)、レジブホゲニンを2〜3mg静脈注射すると、5分ぐらいで呼吸が回復する。末期ガンなどで呼吸も絶え絶えという状態でも、1〜4mgの静脈注射1回で、呼吸数、呼吸気量が増加、血圧も上昇する。
 漢方では、鎮痛、排毒作用もあり、悪性腫瘍などに膏薬として外用する。
 修身演義中の「安祿山徹夜恣情散」・「隋煬帝遍宮春」などの塗布薬は交悦時間延長を図るに蟾酥を主剤とし、四目屋の長命丸にまで影響を与えた。
 
※陣中膏がまの油
ムカデをゴマの油の中に落とし、溶かす。(乾燥したオオムカデ類をゴマ油
や椿油に漬けたものをムカデ油と呼び、火傷・切り傷・ムカデに噛まれた
ときの解毒用薬として用いられる。) これにガマの陰干しを加えて煮つめ、
骨などを除いた物。
 
ムカデ:節足動物のうちゲジ類を除いたものをいう。トビズムカデ(オオムカデ、15cm)、アオズムカデ、アカズムカデの3種類である。頭部の顎部に有毒成分(ヒスタミン、活性ペプチド)を分泌する。
 
●センノシドA(sennoside A)
   センナ、大黄などに含まれる瀉下成分。
 
●蝉退(せんたい)
 中国産がクマゼミ、日本産が主としてアブラゼミの幼虫全脱皮殻。
 風邪などによる悪寒や解熱、蕁麻疹などの皮膚の痒み、咽頭炎・結膜炎などの炎症、破傷風・小児の驚風などの鎮痙薬に使用される。
◇小児ひきつけの緩和
   蝉退……………………2個
   水………………………2合
 1合まで煎じ、砂糖少量を加え3回に分服する
◇中耳炎
   3g〜5gを内服
◇耳鳴り
   黒焼きに麝香少量を加え、髪(椿)油に溶きて耳内へ入るべし
◇咳止め
   粉末となし、甘草を加えて煎服
◇胎毒
   黒焼きとなし、ゴマ油に練って患部に塗布
◇解熱
   3〜4個を単味、あるいは甘草と一緒に煎じ服用する、歯痛にもよろし
◇全ての腫れ物
   粉末として患部に塗抹する
◇便秘
   蝉退……………………3個
   甘草……………………少量
   水………………………1合
 これを5勺に煎じ詰め、服用する
◇目眩・皮膚の風熱を去る
   炒りて粉末となし、1匁づつ燗酒にて用いる
◇利尿
   蝉退1〜2匁をそのまま、または黒焼きとなし、白湯にて服する
◇脱肛腫れ痛むる
   粉末を患部に塗る
 
【そ】 
 
●ゾアパトル(Montana tomentosa)
 メキシコで産する植物。主要成分「ゾアパタノール」は月経或いは分娩を促し、確実に受精を抑制する。摂取方法は葉を茶として服用する。ヒトでの試験は行われていないが、モルモットに投与すると妊娠を妨げ、妊娠の初期には堕胎を招く。
 
●創傷ホルモン
 α−リノレン酸、リノール酸から青葉アルコール、青葉アルデヒドを生成する過程で作られる物質、11−ホルミル−トランス−10−ウンデセン酸、トラウマチン酸半アルデヒドなどが知られている。これらは葉が傷ついた時、傷口を治す創傷ホルモンである。
 植物が環境からの刺激、ストレス、破壊的攻撃に対してはポリフェノールオキシダーゼを活性化させ、フェノールやタンニンの含量を急増させ、@害虫の摂食を阻害。A多種の置換フェノールやそのポリマー、タンニンなどを放出して、傷口を治す。抗菌作用は青葉アルデヒドが主として行い、傷口はポリフェノールで固める。
 
●ソラニン(solanine・グリコアルカロイド・PGA)

 ステロイドアルカロイド配糖体。
 ジャガイモの新芽など、Solanum属(ナス科)に広く分布。PGAはジャガイモ中に0.02%位含まれ、溶血作用により、発熱・嘔吐・頭痛などを起こす。致死量は成人体重3〜5mg/1kg。
ジャガイモ表皮が緑になった部分と新芽の基部に多く含まれる。通常エグミが強いので分かる。中毒症状は、数時間後に腹痛・胃腸障害・虚脱・目眩・眠気・下痢。緑のジャガイモは、捨てるか緑部を深く剥き、伸びた芽をえぐり捨てる。緑化(葉緑素)度とPGA量は同じでない。戸外で3〜7日で緑化、200ルックスの場所で4〜5日で危険。貯蔵は20ルックス以下が安全。PGAは生ジャガイモ100g中20mg以下、30mgを超えると苦みを感じる。ジャガイモ皮層部に多く、30〜60mg。内部は1mg以下。PGAは最外側の周皮に約9割を含み、皮剥きPGAは捨てられる。
 PGA中、95%はα型ソラニン・チャコニン(カコニン)、残り5%中に異アグリコンのβ、γソラマリン・コマーソニン・レプチン・デミッシンなど。
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